事務局日誌 Blog

運営委員会の結成とハへの視察旅行 2015.06.10

運営委員会結成会議の様子 ティンプーのRSPN事務所にて

ハの地域に根ざした持続可能な観光開発プロジェクトレポート、現場に赴くことが多く、すっかり更新が滞ってしまいました。これからまた気を取り直して、3月以降行ってきた活動を順に振り返っていきたいと思いますので、どうぞお付き合いくださいね。

3月初旬、RSPNのオフィスが所在する首都ティンプーにて、“運営委員会(Steering Committee)”の結成を行いました。運営委員会は、国レベルの観光関連機関を代表するメンバーから構成されています。運営委員会を設置することの目的は、プロジェクトに対しての助言や協力を各機関から得ること、そして、委員会を通してCBSTを国全体に広めることです。具体的な運営委員会のメンバーは、以下の通りです。

  • ブータン政府観光局 (Tourism Council of Bhutan : TCB)
  • ブータン旅行業協会 (Association of Bhutanese Tour Operators: ABTO)
  • ブータンガイド協会 (Guide Association of Bhutan: GAB)
  • 農林省森林公園局レクリエーション・エコツーリズム課 (Nature Recreation Ecotourism Division: NRED)
  • 工芸品振興事業団 (Agency for Promotion of Indigenous Crafts: APIC)
  • ハ県事務所 (Haa Dzongkhag Administration)
  • 王立自然保護協会(Royal Society for Protection of Nature: RSPN)
  • 日本環境教育フォーラム (Japan Environmental Education Forum: JEEF)

運営委員会結成会議には、本プロジェクトのドナーであるJICAのブータン現地事務所の方にも出席していただき、プロジェクト開始にあたっての共通認識を持つと同時に、メンバーの積極的なプロジェクトへの関与を促しました。委員会メンバーからは、「この委員会は、CBST事業の範囲内にとどまらず、ブータンの観光産業発展におけるプラットフォームとしての役割も果たしうる。皆でブータンの観光を盛り上げていこう!」といった、嬉しい意見も出ました。

そして、運営委員会結成直後の3月24~26日、JEEF国際事業部長の田儀さんブータン訪問にも合わせ、委員会メンバーでハへの視察旅行を実施しました。既存の観光地や観光関連施設を見学し、ハが観光地として持つポテンシャル、そして課題を、委員会メンバー自らで体験しながら発掘していきました。

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運営委員会メンバーと、ハ県の関係者一同 ハ県事務所にて

視察旅行中に委員会メンバーから出た意見を幾つか、ご紹介したいと思います。

  • どのような家屋がホームステイに適しているか?しっかりと議論をし、ブータンの国全体で「ホームステイ」に対する共通認識を持つことが大切だ。今回宿泊したホームステイの中では、ブータンの伝統的な暮らしぶりが良く感じられる家屋から、生活が近代化しすぎており、受け入れ家族との交流もほとんどできない家屋まで、様々だった。
  • ますの養殖などを行う漁業センターは、とても新しい取り組みで興味深い。ブータンでは動物の殺生を嫌うため、今でも魚釣りに対しては賛否両論の意見があるので、開発を急いてはいけない。まずはブータンに生息する魚類に対する理解を深めてもらうため、国内外の人々に対して漁業センターの見学を推進する価値は大いにある。
  • ハ土着のアプ・チュンドゥ神をたたえる広場は、一見あまり特徴が無いが、ローカルガイドから広場にまつわる言い伝えを聞いたり、年に一度、ヤクを生贄として奉げる祭の写真などを見ると、ここがいかに神聖な場所かが良くわかった。「アプ・チュンドゥ信仰が宿る谷、ハを巡る旅」といった形でのツアーパッケージ化が考えられる。
  • 5世代に渡って受け継がれてきた古民家は、国王からの指令もあり、県として、living museum=生きた博物館として保全、観光資源として活用していく方向性とのこと。しかしながら、実際に農家が現在も住居として使われていることから、家族の生活に支障がでないよう、県から明確な指示を早急に出すべき。衛星、安全面の管理をし、農家にまつわる歴史や逸話をローカルガイドがきちんと伝えれば、文化観光資源としてのポテンシャルは十分にある。
伝統的な作りのホームステイ農家

伝統的な作りのホームステイ農家

ますの養殖が行われている漁業センター

ますの養殖が行われている漁業センター

アプ・チュンドゥ神の広場

アプ・チュンドゥ神の広場

ハで最も古い農家

ハで最も古い農家

2泊3日の短い期間ではありましたが、ハの秘めた魅力を存分に見出すことができ、またそれらを関係者の間で議論し共有するという、とても濃厚な視察旅行となりました。

文責:JEEFブータン駐在員 松尾 茜

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