機関誌「地球のこども」 Child of the earth

白神山地からのメッセージ 岩木山自然学校 にききました【青森県】 2016.08.10

文:谷口 哲郎(岩木山自然学校

開校以来、この土地の自然や文化、風習を題材とした自然体験活動を通して、津軽地方で縄文時代から培われた「山への畏怖の念」や「持続可能な自然と共生した暮らしの作法」を次世代に伝えています。

低年齢から移住者新たなニーズへの対応

2015年からは未就学児〜大人を対象とした「森カフェ」を毎月行っています。

森カフェは、未就学児を対象とした「森のようちえん」、小学生を対象とした「森の学び舎」、さらにアウトドアや自然に興味のある層を対象とした「やまの暮らしづくり活動」から構成されています。

これは昨今のアウトドアへの意識の変化、垣根の低下を受け、自然体験への導入として役割を果たすことを目的としています。さらに一時的な傾向として捉えるのではなく、有意義な時間を共有する場として育てることを狙っています。

森の秘密基地。ちょっとした工夫で、子どもたちは枝葉を屋根壁に。

森の秘密基地。ちょっとした工夫で、子どもたちは枝葉を屋根壁に。


地元の農業高校の生徒さとと協働で、森の土を使って野菜作り。

地元の農業高校の生徒さとと協働で、森の土を使って野菜作り。

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4月には述べ206人の、親子連れから友達同士、個人の方々が参加されました。2回以上の参加者が7割を占めています。多様な参加者による独自のコミュニティーが生まれつつあります。

白神からの未来へのメッセージ

津軽地方では縄文時代から続く「山への畏怖の念」や「持続可能な自然と共生した暮らし」という類い稀な文化があります。「森カフェ」では体験活動や観察会として催すのではなく、衣・食・住に基づき、薪による炊飯や水田での米作り、山菜や木の実の採取などを実施しています。またアースオーブンやパーマカルチャーなどの世界的に広がっている考え方も積極的に取り入れ、実践の場としています。

今後も自身が暮らす地域の文化・精神を継承するとともに、世界自然遺産として認められている自然環境を守り、一方で、もたらされる恩恵を枯渇させることなく活用していくことのできる人材を育成していきたいと思います。

谷口写真

谷口 哲郎(のっぽ)

1980年生まれ福岡県出身。大学在学中に青森の自然に触れ、環境調査会社を経て、再び環境省アクティブレンジャーとして白神山地へ。先人より自然への畏怖の念、持続可能な暮らしを学び、2015年より代表。先人の知恵を伝え、体験する「森カフェ」を主宰。岩木山自然学校

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