機関誌「地球のこども」 Child of the earth

環境教育の知見を深める(2020年までにチェックしたい9つのサスティナブル・トピック) 2019.05.31

 

元号が平成から令和に改まり2020年まであと少し。改めてそれぞれの分野でどのような環境の取り組みが行われているのか、注目のサスティナブルなトピックを集めました。
今回は各方面でご活躍の9名の方々から、「今注目しているサスティナブルな取り組み」を紹介していただきました。読者の皆さんの環境活動のアイディアとしてぜひお役立てください。

TOPIC1 食農:食を通じてサステナビリティを教える日本!?

久野 真希子さん(プレマ株式会社

昨年、私たちの自然食をベースとしたオリジナルジェラートを使って小学校でワークショップを行いました。伝えたいことは「誰もが世界とつながっていて、すべては自分ごとなんだよ」というシンプルな事実です。これは、私たちが事業を通じて日々向き合っていることであると同時に、SDGsの「誰も置き去りにしない」に通じるサステナビリティを考える上で、ベースとなる考え方でもあります。

当日、美味しいという感覚を通じてジェラートの背景に広がる世界を体験した参加者からは、「将来病院で働いても、世界とつながっているんですね」という、ジェラートを超えた感想をもらうことに成功しました。

この事例は味覚という感覚に直接アプローチする「食」の、教育コンテンツとしての新たな可能性を示唆しているに過ぎません。ハーバード大学が料理でサイエンスを教えたように、日本では、食を通じてサステナビリティを教える、というのもありなのではないでしょうか。

食を通じたSDGsやサステナビリティに関する教育コンテンツ化について、今年はもっと深めていく予定です。関心のある方がおられましたら、ぜひお声かけください。


TOPIC2 地域振興:地域の未来を作る「高校魅力化」

江森 真矢子さん(一般社団法人まなびと)

「高校魅力化」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。島根県の海士町と県立隠岐島前高校から始まった、学校教育改革と地域活性化の相乗効果をめざす取り組みです。

少子化に伴い全国で高校の統廃合が進んでいます。教育機関がなくなることで子育て世代の流出が進めば、地域を支える人が細っていくという危機感を持った自治体が、高校を支援する。そんなムーブメントがいま、各地に広がり、私も岡山県立和気閑谷高校(写真)の魅力化事業に携わっています。

興味深いのはその「魅力」の中身です。大学受験指導や部活動ではなく、地域の課題解決を目指すプロジェクトや、地域の人々や自然と深く関わるなど、その地域でしか得られない学校生活に魅力を感じて都会から留学する若者も増えています。そして、社会の課題を自分の課題として、解決のためにアクションを起こす若者たちが育っています。地域の持続可能性を高めるのは人づくりから、中山間地の公立高校と地域の協働が進んでいます。


TOPIC3 エネルギー:エネルギーのことを考える人材育成

セブン – イレブン記念財団主催の「環境NPOリーダー海外研修」という人材育成事業があります。NPOのリーダーが環境先進国ドイツのNPOや事業の現場に訪問し、団体運営を学ぶという10日間の研修です。

その研修先の一つとして選んでいるのが、ガルツバイラー炭鉱(※)です。 マンションの5階くらいある採掘機で、その爪の大きさは大人の背丈程あり地面を深さ300mくらいまで掘り下げます。掘った褐炭はベルトコンベアでそのまま石炭火力発電所まで運ばれます。驚愕するスケールの光景です。地元のNPOは再生可能エネルギーへシフトチェンジするように30年間提案し続けています。

※ノルトライン=ベストファーレン州。工業都市でもあるデュッセルドルフから車で30分の所にある、露天掘り炭鉱。

現在、世界では低炭素ではなく脱炭素社会へ向かっており、資源の無い日本が持続可能な社会を目指すならば、エネルギー問題は外せないテーマです。今年も2月に、地球温暖化防止活動の発表を行う全国大会「低炭素杯」が川崎で開催されました。セブン – イレブン記念財団賞には、徳島県阿南工業高等専門学校の「海洋波力発電装置開発による離島振興と再エネ事業」が受賞しました。新しい発想で考える再エネの開発に高校生が関わっており、新世代が開発する再生可能エネルギーに注目です。

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