文:谷口 哲郎(岩木山自然学校)
開校以来、この土地の自然や文化、風習を題材とした自然体験活動を通して、津軽地方で縄文時代から培われた「山への畏怖の念」や「持続可能な自然と共生した暮らしの作法」を次世代に伝えています。
低年齢から移住者新たなニーズへの対応
2015年からは未就学児〜大人を対象とした「森カフェ」を毎月行っています。
森カフェは、未就学児を対象とした「森のようちえん」、小学生を対象とした「森の学び舎」、さらにアウトドアや自然に興味のある層を対象とした「やまの暮らしづくり活動」から構成されています。
これは昨今のアウトドアへの意識の変化、垣根の低下を受け、自然体験への導入として役割を果たすことを目的としています。さらに一時的な傾向として捉えるのではなく、有意義な時間を共有する場として育てることを狙っています。
4月には述べ206人の、親子連れから友達同士、個人の方々が参加されました。2回以上の参加者が7割を占めています。多様な参加者による独自のコミュニティーが生まれつつあります。
白神からの未来へのメッセージ
津軽地方では縄文時代から続く「山への畏怖の念」や「持続可能な自然と共生した暮らし」という類い稀な文化があります。「森カフェ」では体験活動や観察会として催すのではなく、衣・食・住に基づき、薪による炊飯や水田での米作り、山菜や木の実の採取などを実施しています。またアースオーブンやパーマカルチャーなどの世界的に広がっている考え方も積極的に取り入れ、実践の場としています。
今後も自身が暮らす地域の文化・精神を継承するとともに、世界自然遺産として認められている自然環境を守り、一方で、もたらされる恩恵を枯渇させることなく活用していくことのできる人材を育成していきたいと思います。
- カエルの胃は福袋!? 〜石垣島で取り組む外来生物問題〜 エコツアーふくみみにききました【沖縄】
- 幼児から大人まで 〜米子水鳥公園における長期的環境教育プログラム〜 米子水鳥公園にききました【鳥取県】
- 伝統漁法が伝える昔の宮川 大杉谷自然学校 にききました【三重県】
- 考えるっておもしろいかも!?第5回 学びの環境を考える2(ファシリテーション編)
- Awareness 気づきの力を育てる アースマンシップ にききました【東京都】
- 富山から世界へ!フォーラム参加者でつくった 環境市民宣言 とやまエコひろば にききました【富山県】
- 白神山地からのメッセージ 岩木山自然学校 にききました【青森県】
- Mission Complete (旧)NPO法人ねおす にききました【北海道】
- 地域の若者たちの溢れるパワー! ローカルガイド研修
- パート2:バングラデシュ現地からの環境レポート 〜環境問題の概要編〜
カテゴリー
最新の記事
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。