2016年7月下旬~8月上旬に渡り、バングラデシュ・クルナ市のウエイスト・ピッカー(有価廃棄物回収人)40世帯を対象とした衛生教育の研修が行われました。
彼らは、街のごみ集積場やごみ最終処分場(オープンダンピング)の衛生的に良くない場所にて有価ごみを拾う作業をしており、皮膚病や呼吸器系の疾患を患っている人が多いのが現状です。そのため、彼らの労働衛生環境を緩和していくことを目的として、衛生教育の研修が行われました。
研修では、ごみ収集の際には、マスク、手袋や長靴等を身に着つけることの意義やその重要性について確認および意見交換を行いました。また、ごみ拾いの際に直面する危険な廃棄物の察知や、ごみ拾いをした後に手洗いをすること、また、疾患に対する対処方法等に関して学びを深めました。
本研修では、読み書きのできないウエイスト・ピッカーが多いことから、写真やポスター等の視覚教材の開発を行い、できるだけ彼らが日々行っているごみ拾いという作業環境の立場からアプローチすることで、彼らにとって分かりやすい研修になるよう、心がけました。
ウエイスト・ピッカーからの感想としては、このような研修会ははじめて参加した人が殆どで、ごみ拾いという職業に潜むリスクや自分たちが地域社会の資源循環に貢献しているといった社会的な役割について確認と認識ができたこと等、有意義な研修会であったとの意見が多く聞かれました。
バングラデシュにおけるウエイスト・ピッカーを対象とした衛生教育の研修事例は少ないため、その手法が確立されていません。ウエイスト・ピッカーからの研修のフィードバックを踏まえ、研修の進め方についてブラッシュアップを行っていきたいと考えています。
文責: 国際事業部 佐藤 秀樹