先月の8月下旬、バングラデシュのスンダルバンス(世界自然遺産)と対岸を接する農村部(シャムナガール群)にて、漁師75世帯を対象に、同地域周辺における自然環境保全の意識向上を図るための研修会が開催されました。
世界自然遺産と隣り合わせに暮らしている住民の主産業は、漁業であり、将にスンダルバンスの自然からの恩恵を受けながら暮らしている地域です。同地域の沿岸流域に広がる世界最大規模のマングローブ林や湿地帯は、魚、カニ、エビ等の産卵場所となり豊かな漁場となっています。
今回は、JEEFの現地協働先であるバングラデシュ環境開発協会(BEDS)が、スンダルバンスの自然がもたらす恩恵について、生活、産業、環境、文化等の視点から学習できるポスターを作成しました。研修会では、スンダルバンスのマングローブが大雨による洪水や暴風から人々の安全を守っていることや、ウナギ、ナマズ、コイ、エイ、カツオ、エビ、カニ等の300~400種類にもおよぶ魚介類が生息する同地域の豊かな漁場(汽水域)はスンダルバンスとその周辺をとりまく、森、川、海が一体となって形成される同国の貴重な宝であることが確認されました。
また、研修会では、漁師の家族がグループに分かれ、スンダルバンスの自然や生活をテーマとした絵画を作成し、絵の内容について発表を行いました。スンダルバンスを象徴するベンガルタイガーや漁の様子を表現するグループ等、それぞれの思いを胸に描いていました。
世界自然遺産と隣り合わせの地域で、自然と共生しながら人々の暮らしを維持・改善するために、適切な自然資源管理を行うためのより良いアプローチや方法を、今後も地域住民、行政やNGOと連携しながら実践し、人と自然が共生するモデルケースを創出していきたいと思います。
文責: 国際事業部 佐藤 秀樹