機関誌「地球のこども」 Child of the earth

バングラデシュ全国で生物多様性保全のムーブメントを引き起こす! 2017.06.19

【事業名】バングラデシュ国の小学生とその父兄を対象とした生物多様性保全の教材普及実証事業
【実施期間】2015年1月1日~2016年12月31日
【実施地】バングラデシュ
【資金提供】トヨタ自動車(株)トヨタ環境活動助成プログラム
【協働団体】バングラデシュ環境開発協会(BEDS)

文:佐藤秀樹(国際事業部チーフコンサルタント)

世界最大のデルタ地帯とマングローブ林を形成するスンダルバンスに生息するベンガルトラ、イリエワニ等の野生動物や地域の生物多様性を保全するため教材が完成しました。

同国の8管区にある小学校82校の教員、次世代を担う子どもやその父兄を対象としたバングラデシュ全国の公式な小学校で使用できる教材の開発や、実証普及授業が行われました(生徒20,000人、教員400人、父兄40,000人)。教員、生徒、父兄や教材開発に関わった有識者からの反応は上々で、スンダルバンスの自然環境をすごろくやカードで楽しみながら学べることが、とても画期的な教材だったようです。

すごろくゲーム活用の様子

すごろくゲーム活用の様子

今後は、引き続きトヨタ環境活動助成プログラムの支援(2017年1月から2年間)を受けて、教育省のキーパーソン、国会議員や大学等の有識者からなる「生物多様性保全委員会」を組織し、検討会を重ねます。その上で、国内の公式な小学校の生物多様性教育を普及させる方針を政策レベルで明確にし、この教材が学校で活用できる仕組みの構築を目指します。

また、対象の小学校を拠点としながら、その周辺村落住民をも巻込んだ市民レベルでの普及活動を継続・拡大し、生物多様性教育の意識向上を図ります。具体的には、対象校での「生物多様性保全クラブ」の結成や「生物多様性保全コンテスト(絵画等)」の実施、「スンダルバンスへのスタディツアー」の開催や「子ども生物多様性保全フォーラム」の開催等を通して、スンダルバンスの自然環境保全に関するテーマに加え、地域性や固有性を踏まえた、生物多様性保全の普及啓発へつなげていきます。

【写真3】教材普及実証校にて

最終的には、生物多様性保全のムーブメントを全国規模で引き起こすことにより、これらの教材がバングラデシュ全国の公式な小学校で補助教材として認可され、導入されるよう準備を行います。
そして、国連が定めた「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の持続可能な開発目標(SDGs)17項目の中で、「目標15: 陸の豊かさを守ろう」、「目標4:質の高い教育をみんなに」等の達成へ貢献していきます。

文責: 佐藤秀樹(国際事業部チーフコンサルタント)

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