文:福留 健太(外務省国際協力局地球規模課題総括課)
「これからの地球の未来はどうなるのだろう?」と考えたことはありませんか。
このような問いかけに対し、国連で採択されたSDGsを切り口に、地球の未来を守るための日本の取組を紹介します。
8つの国際目標 MDGs
世界中の人たちが、もっと協力し合い、困っている人たちを助けるため、2001年から2015年まで、ミレニアム開発目標(MDGs:エム・ディー・ジーズ)という8つの国際目標の達成を目指して取組が進められてきました。
これは、開発途上国の貧しい人、食べ物が不足し飢えに苦しむ人、学校に行けない子ども、生まれてすぐに亡くなってしまう子ども、子どもを産んですぐに亡くなる母親、HIV╱AIDS・マラリア等の病気にかかる人を減らすことなどを目指したものでした。
MDGsの下で、極度の貧困を半分に減らすこと、HIV╱AIDS・マラリア対策の目標は達成することができました。しかし、乳幼児・妊産婦の死亡率削減は達成できないなど、MDGsの達成には課題が残されることとなりました。
未来を示す羅針盤 SDGs
この15年間に、環境問題や気候変動の深刻化、格差やテロの拡大などによって、途上国だけでなく、先進国の人たちにも関係の深い問題が注目されるようになりました。これらの背景から、先進国も含めた、すべての国が目指していくべき新たな目標として決められたのが、持続可能な開発目標(SDGs:エス・ディー・ジーズ)です。
SDGsは、「誰一人取り残さない」、どんな国や環境に生まれ育っても、みんなが元気に活躍できる社会を作ることを目指し、国連で定められた17の目標です。
- 私たち人間が好き勝手に大量生産や大量消費を続けたら、将来、今のような暮らしを維持できるのか?
- CO2の大量排出を続けたら、地球温暖化に歯止めがかからなくなるのではないか?
- ニュースでしばしば目にする、テロや暴力を根絶することはできるのか?
これら地球規模の課題は、地球の未来を不透明にさせる原因であり、かつ一国のみでは解決できません。世界のすべての国で、政府や地方自治体、民間企業やNGOなどのパートナーが協力して立ち向かうことが大切です。そして、これらの課題を解決する上で、世界の国々の共通言語として未来を示す羅針盤、それこそがSDGsなのです
若者に期待!SDGsアクションプラン2018
SDGs達成のため、まず国内の基盤整備をし、2016年5月に総理大臣の下で「SDGs推進本部」を設置。
昨年12月に行われた第4回SDGs推進本部会合では、SDGs達成に向けた主要な取組を「SDGsアクションプラン2018」として決定しました。
このアクションプランの3つの柱の一つに、「SDGsの担い手としての次世代・女性のエンパワーメント(強化)」を掲げており、2030年における社会の担い手である若者は、SDGs達成の主役としての活躍が期待されています。
同時に、 SDGsを日本中に幅広く知ってもらうことを目的として、SDGs達成に向けて優れた取組を行っている日本の企業・団体等を表彰する「ジャパンSDGsアワード」の第1回表彰式を実施し、280を越える多数の応募の中から北海道下川町がSDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞を受賞しました。
下川町は、林業を主産業とし、人口約3千4百人の40%を65歳以上の高齢者が占める町。建材として使用できず、廃棄される木材を活用して発電し、その熱供給システムを導入したコンパクトなまちづくりの他、別供給施設で雇用を創出するなど、町をあげて持続可能な地域社会の実現を目指しています。(5ページ参照)
難しくないよ!日常生活で始められるSDGs
「持続可能」「国連」などの言葉をきくと、SDGsに対してどこか堅苦しい、敷居の高いイメージを持ってしまうかもしれません。しかし、私たち一人ひとりの行動なしにSDGsを達成することはできません。実は、SDGsは私たちの身近な生活に深く関連しています。
例えば!
買い物をする際にエコバックを使用することは、エネルギーの無駄をなくす目標12の持続可能な生産と消費に、歩いて健康維持に努めることは保健の目標3に繋がります。
このようにSDGsは決して遠い世界のものではなく、私たちの心意気次第で、今すぐにでも始められることです。そのためにも、まずは私たち一人ひとりがSDGsとは何かを知り、「自分ごと」としてアクションの第一歩を踏み出すことが、地球の未来を守ることに繋がります。そして、政府は、それらの取組を全力でサポートしていきます。
- パートナーシップを重視したSDGsの推進〜目指せ!日本企業のSDGs実装元年〜
- 過去から学び未来に繋ぐ環境教育の形!(コスタリカ)
- パート3:開発途上地域(アジア)の地域デザイン第6回 〜拡大する都市と疲弊する農村部での地域づくりの展望〜
- 環境教育のものさし第1回 プログラム運営者の応援隊になろう!
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- 読本『森里川海大好き!』が完成しました〜自然の中で輝く子どもたちを復活させるために〜
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