機関誌「地球のこども」 Child of the earth

世界(開発途上地域)の食・農事情 第2回バラエティに富んだ食文化が魅力 ニカラグア 2018.10.15

写真:当時(2005年)、筆者が関わった「チナンデガ県ビジャヌエバ市自然災害脆弱性軽減プロジェクトおよびコミュニティ農村開発プロジェクト」の中の一つの取組みでは、住民参加型ワークショップによる防災・救急医療訓練等が行われていました。

文:佐藤 秀樹 (国際事業部チーフコンサルタント)

今回は、筆者がJICA事業で関わった時の経験をもとに、ニカラグアの食・農事情について紹介します。

ニカラグアは、北海道と九州を合わせた広さ(130,370㎡)で、中米に位置する人口615万人程の国です。ホンジュラス(北)、コスタリカ(南)に挟まれ、南部にニカラグア湖があります。

人口の70%はメスティソと呼ばれる混血民族で、公用語はスペイン語。火山、地震やハリケーン等、自然災害の多い国です。

特産物と伝統料理

ニカラグアの特産物と言えば、コーヒーです。北部の高原地帯ではコクのあるコーヒーが生産され、国の主要な産業の一つとなっています。その他の特産品は、葉巻、ラム酒等が有名です。牛肉の生産も盛んで、その肉は柔らかくジューシーでとても美味しいです。

私が訪れた北部のチナンデガ県ビジャヌエバ市周辺の農村部でも、牛肉の干し肉がつくられ、地域の保存食として利用されていました。

写真上のお皿:ニカラグアの昼食。ご飯、赤豆をすりつぶしたもの(右)、魚フライ(中央)、ナカタマル(左)

 

現地の人がほぼ毎日よく食べるメニューの一つに、ガジョピントがあります。赤い豆と白ご飯を炒めて食べる赤飯のようなご飯です。豆だけをつぶして、ご飯と一緒に食べることも多いです。さらに、とうもろこしが多く栽培され、すりつぶして焼いたトルティージャは絶品です。

伝統料理としては、ナカタマルがあります。とうもろこしで生地をつくり、豚肉、米、芋、トマト、タマネギ、ピーマン等を刻んでバナナの葉で包み、蒸した、ちまきに似た料理です。

深刻化する所得の地域格差

多様な食文化が存在するニカラグアですが、中米の中でも貧困国の一つであり、首都マナグア等の都市部と地方農村部では所得の地域間格差が深刻な課題として残っています。

特に、農村部で暮らす人の多くは、第1次産業に従事し、貧困の問題に直面しています。このことから農業生産や生活の向上にむけた取組みや支援が引き続き求められます。

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