文:鴨川光(ジャパンGEMSセンター研究員)
Q これから先生はどういう立ち位置になるの?
AIにとって代わられる?
先日担当した学校の先生の研修で、前述のような質問をされました。話を聞いていると「先生」という職業そのものが、大きく変わろうとしているようです。
AI(人工知能)の発達によって既存の職の大半がなくなると言われています。教育分野でも、生徒の誤答の傾向を分析し、適切な学習課題を提示することで、効果的な学習をサポートする先生AIが登場し話題になりました。もはや、教えるだけであれば人間でなくてもできる時代になってきています。
それでも僕は、子どもたちにとって、先生は必要な存在だと思っています。ただし、これまでとは違った意味合いで、です。
先に生まれると書いて「先生」
「知識をたくさん持っていること」が賢さの指標とされた時代であれば、長く生きている人の方がいろいろなものを見聞きしているので、教育者としてリスペクトされていたのかもしれません。
しかし、「新しいものを生み出すこと」が求められるこれからの時代においては、後から生まれた人の方がこれまでになかった発想で、世の中にアプローチできる可能性をたくさん持っていますよね。そう考えると、私たちのスタンスは自ずと変わってくるのではないでしょうか。
先に生まれて今をつくってきた私たちと、後から生まれてこれからをつくっていく子どもたち。後から生まれたからこそ見える景色もあります。
自分が覚えてきた情報を伝えるだけの教育者ではなく、次の時代をつくっていく子どもたちに必要な力を育てられる教育者に、理想像はシフトしてきています。
教える − 教えられるという単純な図式を超えたところに、アクティブな学びはあるように感じています。
教育を変えていくのは大人ですが、教育によって変わっていくのは子どもたちです。先に生まれた者として、子どもたちをサポートしていきたいですね。
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。