文:鴨川光(ジャパンGEMSセンター研究員)
Q アメリカで何を感じたの?
早まる教育の変化
9月末にGEMS本部があるカリフォルニアのローレンスホール科学教育研究所(LHS)を訪れ、新しい教育の流れを感じてきました。今回一番大きく感じたのは、社会の流れと同じように教育も加速度的に変化が早くなっているということ。
LHSでも、開発を始めて5年も経たないうちにGEMSの新しいメソッドのプログラムを開発していました。
新プログラムはデジタルコンテンツを活用し、子どもたちが簡単にできないような実験(分子にエネルギーを加えるなど)を画面の中でシミュレーションすることができたりします。
まさに新しい時代の教育といった手法なのですが、LHSのディレクター Jacqueline Barber(ジャッキー)氏は「基本はいつだってGEMSよ」と言い切ります。どういうことなのでしょう?
遊びと学びと勉強と
教育に関わる人にとって一番大切な資質は何かという質問に、ジャッキーは「子どもたちと同じように好奇心と探究心をもって学び続けられること」と答えてくれました。ジャパンGEMSセンター運営委員の高木幹夫(みっきぃ)氏は、そういう人を「子どもと遊ぶことができる人」と呼びます。
遊びと学びは切っても切れない縁にあります。遊びは学びに楽しさを与え、子どもたちの学びに対する意識を「勉め(努力)を強いられるもの」から「自分がやりたくてやるもの」にシフトするのに一役買ってくれるのです。
どんなに良いツールやプログラムでも、それを扱う人次第で子どもたちが受ける印象はガラッと変わります。だから「基本はいつだってGEMS」。この先どれだけコンテンツが進化しても、社会が求める能力が変わっても、GEMSが伝える遊びと学びの感覚が教育者の土台にあって欲しいのです。
スキルを磨くことも大切ですが、子どもたちと過ごしているときの感覚を研ぎ澄ましてみませんか?
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。