こんにちは、JEEFインターン生のこんちゃんです。ご無沙汰しておりました。ついに、今年度の「市民のための環境公開講座」が終了しました。お越しいただいた皆様、誠にありがとうございました。
パート3では、「わたしたちの暮らしをシフトする」というテーマのもと、山藤旅聞さん、金丸治子さん、テンダーさんに、山藤さんは高校教師として、金丸さんは企業の環境・社会部門の部長として、テンダーさんはヒッピーとして、どんな活動を通して持続可能な社会を実現しようとしているのか、そして、私たちに何ができるのかについてお話ししていただきました。どの方もお話が上手で非常に説得力のある内容でした!
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改めて、パート3のテーマは「わたしたちの暮らしをシフトする」でした。実は最初、このテーマを見た時に私は「シフトする」なんて言いすぎではないかと思っていました。しかし、3人のお話やパート1、パート2の講師のお話を聞いて、全然言い過ぎでないことに気づきました。というより、言い過ぎでなくなるくらい私たちの生活は変わり、地球環境も急速に悪化しています。最悪の事態を防ぐために、私自身含めて「市民のための環境公開講座」に足を運んでくださった皆さんが少しずつでも自身の「暮らしをシフト」していただければ幸いです。
教科の学びを社会課題の解決に繋げる教育
1人目の講師の山藤旅聞さんは東京都立武蔵高等学校・附属中学校の生物の教師で、「教科の学びを社会課題の解決につなげる教育」の実践者です。山藤さんには「SDGsについて『知る』ことで、新しい暮らしをデザインする ―学校×SDGsから地域×SDGsへ―」というテーマでお話しいただきました。山藤さんは現在の暗記型教育では教科で学んだことが社会にどう役立っているのか、社会問題とどうつながっているのかが生徒に伝わりづらいといいます。そうなると、生徒たちは学んだことをどう生かせばいいのかわからなくなってしまいます。
そこで、山藤さんは教える授業ではなく生徒に考えさせる授業スタイルにシフトしました。例えば、生徒に来年度の生物の教科書の案を考えさせたり、プランテーションが問題となっているパーム油を使った商品を自分の周りから探して考察させたりしています。そうすると、斬新なアイデアや発想に驚かされるそうです。例えば生徒たちが作った教科書はまず疑問から入って、読む人を引き付けるように工夫しており、教科書を作成する出版社にもっていっても担当者が唸らせたそうです。
また、生徒たちにいくらアイデアや発想が備わっていても、それを社会に還元する機会がありません。いいものを持っていてもそれを社会に発信していくのは、一生徒では難しいものです。だから、山藤さんはそういう子たちの背中を押すために、大人と生徒との架け橋をしています。
山藤さんはこういった教育のスタイルを普及しようと、「未来教育デザインConfeito」という団体を立ち上げ、様々な所で講演・活動をされています。
山藤さんは私達に出来ることとして「第一次情報に触れる」ことを挙げられていました。私たちの身の回りには様々な製品が存在しています。しかし、それがどこから来て、どう流通されて来たのかをちゃんと考えたことがあるのでしょうか。もしかしたら、どこかで誰かを不幸にしているかもしれません。
私自身、物を買う際にそれが誰によってつくられて、その人が幸せに暮らせているのかなどまったく考えたことがありませんでした。でも、買うものを安易に選んだその先に誰かを不幸にしているかもしれないと考えると、今までの自分がいかに自分勝手で愚かであったのかに気づかされました。今後は消費者として責任のある買い物を心がけるとともに、その製品が持つストーリーに気を配りたいと思います。
お客様と共に持続可能な社会を
二人目の講師は、イオン株式会社グループ環境・社会貢献部 部長である金丸治子さんです。金丸さんには、「持続可能な社会の実現 ~イオンの挑戦~」というテーマのもと、イオングループが行っている持続可能な社会の実現のための取り組みを紹介していただきました。
イオングループはおおもとが流通であることから、生産者から消費者まで幅広いつながりを持っています。また、グループとして様々な業種の子会社を持っており、それぞれの特性を活かした取り組みを行っています。
例えば、「幸せの黄色いレシートキャンペーン」という取り組みがあります。HPによると、
毎月11日の「イオン・デー」に、実施している「イオン 幸せの黄色いレシートキャンペーン」は、お客様がレジ精算時に受け取った黄色いレシートを地域のボランティア団体名が書かれた店内備え付けのBOXに投函していただくことで、レシート合計の1%分の品物をイオンが各団体に寄贈する取り組みです。
この取り組みのいいところは、映画からとったであろう名前のキャッチ―さと、消費者が地域の課題やその解決に向けて取り組んでいる人たちに関心を持つ機会になっているところだと私は思います。普通に生きていたら関心も持たない問題。でも、言われると自分でも大事だなーって思う問題ってありますよね。幸せの黄色いレシートキャンペーンはそれを改めて気づかせてくれるよいきかっけになります。
また、イオンには1991年から続く植樹活動があります。これは地域住民と一緒に行っています。イオンはこの植樹活動を通して「地域」の人々とともに成長することを目指しています。地域が活性化し、住民とのきずなが深まれば自然とお客さんも増えてきます。ともに成長することでお互いにwin-winになる素晴らしい取り組みだと思います。
イオンはそれ以外にも理念に従って、「サステナビリティ基本方針」や「脱炭素ビジョン2050」など社会とイオンがともに成長し、活躍する取り決めを定めています。これらは企業にしかできないこと、企業だからこそできることです。では、私たちに何ができるでしょうか。
それは買い物の時に配慮された商品を購入することです。例えば、FSCといった認証マークがついたものを購入することです。もしかしたらどこかの森林の違法伐採に関わっているかもしれません。はたまた、低賃金労働や児童労働の犠牲のもとに作られたものかもしれません。少なくとも認証マークのついている商品ならその恐れはありません。
一万年先にも通用する持続可能な形を
三人目の講師は、鹿児島でダイナミックラボを運営しているヒッピーのテンダーさんです。テンダーさんは電気も水道も契約しないオフグリッド生活をしています。そんなテンダーさんには、「市民工房=ファブラボから始める解決モデル ~専門家にならないススメ~」というテーマでお話しいただきました。
ファブラボって皆さんご存知ですか?私はこの講座で初めて知りました。ファブラボとは、誰でも最新の機器を使えるように整備した工房です。これは貧しい人ほど技術や機器が必要であるという理念から生み出されました。レーザーカッターや3Dプリンターなどの機器が置いてあり、誰もがそれを使って自分の作りたいものを作ることが出来ます。
テンダーさんがファブラボを運営しているのは、プラスチックや原子力の持続可能な利用方法を探求するためでした。テンダーさんが学んだアメリカの先住民技術が1万年つづいたように、「自分が1万年先にも通じる新たな先住民技術を作りたい」。この心意気の大きさにはびっくりしました。そして、実際にテンダーさんはプラスチックの持続可能な利用を考えだしたのです。
例えばプラスチックを利用したコースター。粉砕機にペットボトルなどのプラスチックを入れ、粉々にしたものをプレス機でぺしゃんこにして作ります。これを販売すればプラスチックのリサイクルが商売として成り立ちます。人はお金にならない事には消極的になりがちですが、これならばお金が生み出せて積極的にリサイクルしようとする人が増えます。そうなると持続的にプラスチックのリサイクルが果たせます。
一般的に何か仕組みをつくるときには、それにかかわる人がみんな幸せになるwin-winな関係を考えていかなければなりません。そうでなければ、その仕組みは持続可能な形にならないからです。だからこそ、テンダーさんが考え出したプラスチックのコースターは大きな可能性を抱いていると思います。
おわりに
3人に共通することは、自分の暮らしを少し変えれば社会を大きく変えることができるかもしれないということです。買い物の時にちょっと認証マークを気に掛ける。win-winな関係を構築する。これらのちょっとした気配りがあればいいのです。私もいよいよ大学生活は残り2年です。これからはもうちょっと気配りを以て生活したいと思います!
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告知!
1月26日(土)、「市民のためのSDGsフェス」が開催されます。第一部では、SDGsをもっと多くの人に楽しみながら知ってもらうために、吉本興業の芸人さんをお呼びして「SDGs漫才」やSDGsについて学ぶための「トークセッション」を行います!第2部では、実際にSDGsを実践している企業やNPOなどの活動を紹介します!ワークショップもあるので実際に体験することができる!どれもおススメの内容となっていますので、ご友人などお誘いあわせの上、ご参加ください!
詳細は→「市民のためのSDGsフェス」
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今田 海斗(CSOラーニング生)