機関誌「地球のこども」 Child of the earth

超大 狩猟免許を取る! 第1回人間と野生生物の共生に向けて 2019.06.18

狩猟免許取得までの道のりを通して「人間と野生生物の共生」を考える!
第1回は環境省 鳥獣保護管理室の遠矢駿一郎さん(狩猟係長)にニホンジカやイノシシによる被害の現状やその原因についてお聞きしました。

JEEF:加藤超大

環境省:遠矢駿一郎

加藤 ニホンジカやイノシシの生息数や生息域が増えたことで、具体的にどのような被害がもたらされているのでしょうか?

遠矢 生態系や農林業などに深刻な被害を与えています。例えば、冬場に飢えたニホンジカが木の皮を剥ぎ、樹木を枯らしてしまいます。また、農作物への被害総額(2016年度)はニホンジカで約56億円、イノシシは約51億円です。

イノシシに荒らされた果樹園

木の皮を食へるニホンシカ

加藤 せっかく作ったお米や野菜が損害を受けるのは悲しいですね。

遠矢 そうなんです。農家の中には意欲を失い、農業を続けることを諦めてしまう方もいます。

加藤 では、ニホンジカやイノシシの生息数が増えた要因は何でしょうか?

遠矢 積雪量の減少や耕作放棄地の拡大などが挙げられます。その他に、ハンターの減少も要因のひとつとされています。1975年度は約52万人いましたが、2016年度は約20万人となっています。また、高齢化も進んでおり、2016年度では60歳以上がハンター全体の6割を超えています。(下図)

加藤 狩猟を始めた若者が最近では頻繁にメディアで取り上げられているので、ハンター人気は回復して、これらの問題は解決していると思っていました。

遠矢 狩猟免許の交付状況は最近では横ばいです。しかし、実際には狩猟免許の取得までにとどまり、実際に現場での捕獲活動に至っていない方が多いのも事実です。

ハンターが行う狩猟は、野生生物の個体数を適正に維持し、「人と野生生物の共生」のための重要な役割を担っています。環境省としても、若手ハンターの確保に向けた取組を進めています。

加藤 遠矢さん、本日はありがとうございました。次回は、ハンターになるまでの道のりについて教えてください。

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