文:鴨川光(ジャパンGEMSセンター研究員
Q どうやったら子どもたちの自律を促せるのですか?
アリとひこうき
最近ワークショップの冒頭で次のような話をしています。「つまらないと思うことを無理にやらなくていいし、自分が楽しいと思えることをたくさんやってね」と。言われたことにぼーっと従うよりも、自分の「楽しい」を自分でつくれる方が大事だと思うからです。
先日実施した『アリのおうち』のワークショップでのこと。4歳の男の子が会場に来た時から落ち着かず、アリはやりたくないと言います。「君は何をしたら楽しいの?」と聞くと「のり(付け)」とのこと。アリを作る用の型紙(胴体と脚6本、触角2本)を渡すと、脚4本を胴体に左右水平にのり付けして「ひこうき!」と言うのです。
ちょっと驚きつつ「アリと同じパーツで飛行機が作れるんだね。ということは、アリと飛行機ってどこか似てるのかなぁ?」などと言いながら寄り添っていると、ひとしきり自分の好きなように遊んだ彼は、飛行機をお母さんに預け、他の子の輪の中に入っていったのです。それは彼が自分で選んだことでした。
自分で選ぶ機会を増やす
インターネットなどのメディアに慣れている現代の子どもたちは、自分で楽しさを生み出す必要がありません。
木の枝を振り回してチャンバラするよりも、画面の中でモンスターと戦う方が刺激的。そうやって、「楽しさは誰かに与えてもらうもの」という感覚の子どもが増えてきているように思います。
自分の好みや、何をしたら楽しいのかを知っていくためには、「自分で選ぶ」という経験が大切です。例えば、水筒に入れるのは水と麦茶どっちがいいか聞くだけでもいいのです。
どんなに小さいことでも、自分で選んだという経験は子どもたちの自律心を育てます。そして、自分の「楽しい」を自分でつくる=自分の人生を豊かにすることができるようになっていくのです。
ちょっと手間をかけて、日常の中で子ども自身が選択する機会を増やしてみませんか?
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