文:武石 泉
「育つためには、実践が大切」「ファシリテーターとしての実力は場数だね」等々、よく耳にします。アタマで考えているだけでなく、実際に「やってみること」が人を育てるというのは本当にその通り。とはいえ、ただ闇雲に場数を踏んで自分で育って! という現場主義だと厳しいこともあるでしょう。その実践を「ふり返る」ということが必要になります。
ふり返りって反省とは違うの?
「ふり返り」にはいろいろなやり方があると思いますが、私たちは次のサイクルを使っています。
慣れないうちは「次は気を付けます!」と、早々に宣言してふり返りを終えてしまうことも起きがちなのですが、それだと単なる「反省会」。次への具体的なアクションに結びつきにくいですね。
事実から「なぜ?」をじっくり分析する!
やったこと、事実を詳しく見ていきましょう。例えば、ワークショップ実施後にふり返るとしたら…「最初のパートで、参加者がなんとなく引き気味だったように感じた」「グループでのディスカッションで、笑顔はあったけど、発言が少なかった。」(What)と、事実を詳しく見ます。
そして「それってなんで?」を自分に問いかけます。(So What)「最初に話を聞く時間が長かったからかな」「いきなりグループに分けたことで、話しづらかったのかも」と、参加者の立場にたってあれこれ考えてみる。この分析のプロセスがとても大切です。
分析ができれば、「次はオープニングで短く参加者同士話す時間を設けよう」「まずは隣の2〜3人というサイズにしてみよう」等、次に生かすこと(Now What)がより具体的になります。
先輩や仲間の存在があれば、ふり返りに異なる視点を加えてくれます。共にふり返ることで分析も深くなるでしょうし、次へのアイデアも豊かになってくるでしょう。忙しかったり慣れたプログラムだったりすると、必要性はわかっていても、つい、ふり返りをなおざりにしがち。場数を実力に変えるためにも「ふり返り」を大切にしていきたいですね。
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。