機関誌「地球のこども」 Child of the earth

SDG4.7 教育を通してSDGs達成に貢献する 2019.12.06

文:辰野 まどか((一社)グローバル教育推進プロジェクト) 
写真:Educators’ Summit for SDG4.7 第2回目の開催となる「Educators’ Summit for SDGs4.7 2018」では、定員を上回る200名近くの多世代の方にお集まりいただきました。

 

SDG4.7のロゴ(図1)を見たことがありますか? このロゴを見るだけでも「SDGsの真ん中に教育があること」「教育を通してSDGs達成に貢献すること」が伝わってきます。

 

SDG4.7とは、SDG目標4「質の高い教育をみんなに」にあるターゲット7のことです。そこには、一言でいうと

平和と持続可能性のビジョンに基づいた、態度、行動変容を目指す教育の普及

が記されています。その教育とは、ESD(持続可能な開発のための教育)、環境教育、開発教育、平和教育、国際理解教育、人権教育、グローバル・シチズンシップ教育等を指し、その推進が求められています。

2005年から2019年まで「国連ESDの10年」「グローバル・アクション・プログラム(5年)」として推進されて来たESDにおいても、今年ESDをより強化し、SDGs達成の鍵とすべくESD for 2030が提唱されています(2020年〜2030年)。

 

日本の持続可能な教育の積み重ね

私たちGiFTは「今、私たちは未来に何をギフトすることができるのだろう?」そんな問いと共に7年前に設立し、グローバル・シチズンシップ(世界をよりよくする志)育成に携わっています。その活動を続けている中で、日本にはESDをはじめとした、平和と地球の持続可能性を目指した教育の何十年もの積み重ねがあることに改めて気づきました。

SDG4.7はこのような「平和と地球の持続可能性を目指した教育」のプラットフォームになるのではないか、と有志の方々と話し合い、次の二つのイベントを開催しました。

両イベントで、のべ250名の産官学民の教育の担い手が集まりました。そこでは、これまでの活動を振り返りながら今後のアクションを共有し、SDG4.7推進に向けたコラボレーションが生み出されました。

SDGs × 教育ミーティング 〜 今こそ『SDGs × 教育』を考える 〜
登壇者には様々な分野の方が登場

海外でも始まっているSDGs

実は、これらの動きは国内だけではなく、海外でも始まっています。私が「SDG4.7」が推進されているのを知ったのは、2015年7月にバンコクで開催されたユネスコ・バンコク事務所主催のグローバル・シチズンシップ教育会合でした。その時から、様々なルーツを持つ教育がSDG4.7と共に繋がれることが話されていました。

2017年にはこの会合にサポートいただき、国内でSDG4.7をテーマにした教育関係者の会合「Educators’ Summit for SDG4.7」を開催しました。

翌年の2018年には『SDG4.7 OPEN LAB』事業を、政府開発援助ユネスコ活動費補助金(※)に採択いただきました。そして過去何十年も積み重ねのあるSDG4.7に関わる教材を、日本の先生20名とフィリピンの先生10名がリサーチ。その教材を実際に活用して授業をし、その実践レシピをウェブで共有するというプロジェクトを行いました。

※ 政府開発援助ユネスコ活動費補助金(持続可能な開発目標(SDGs)達成に貢献するユネスコ活動の普及・発展のための交流・協力事業)

その際は、ハーバード大学やOxfamなど海外の教材も活かされ、SDG4.7を通して繋がれる教育の幅広さを感じることができました。また、フィリピンの教育現場でもSDGsへの意識の高まりが強いことと、SDG4.7をキーワードに他国の教育者とも繋がれることを実感しました。

あらゆる世界に変容を促す

SDGsのゴール17は「パートナーシップで目標を達成しよう」。SDGsは様々な分野、専門組織が協力して、お互いの強みを生かして社会をよりよくしていく「コレクティブインパクト」によって実現できることを表しています。

SDG4.7は、これまでに世界中で蓄積された「平和と地球の持続可能性を目指した教育」の叡智をつなぎ、コレクティブインパクトを起こしながら、あらゆる”世界“に変容を促す鍵であると確信しています。

「私たちは、未来に何をギフトした世代だと呼ばれるだろうか?」そんな問いとともに、ぜひ、SDG4.7のロゴのように教育を通してSDGs達成に貢献できるよう、2030年、そして、その先の未来へ向かって、様々な形でみなさまとご一緒できたら嬉しいです。

 

辰野 まどか(たつの まどか)

(一社)グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)代表理事。東洋大学食環境科学研究科客員教授。17歳の時、グローバル教育に目覚める。2012年にGiFTを設立し、現在は「トビタテ!留学JAPAN」の研修や7カ国を舞台にした海外研修等、SDG4.7、グローバル・シチズンシップ育成に関する研修、講演等を行っている。

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