【開催日】2013年7月9日(火)〜11月12日(火)
【会場】損保ジャパン本社ビル、日本興亜損害保険日本橋ビル
【主催】JEEF、 (公財)損保ジャパン環境財団、(株)損害保険ジャパン
【協賛】日本興亜損害保険(株)
【後援】環境省、文部科学省、東京都、新宿区、日本環境教育学会
JEEFと(株)損害保険ジャパン、(公財)損保ジャパン環境財団の三者共催で20年に渡って実施している「市民のための環境公開講座」が、今年も終了しました。今年ははじめての昼開催などもあり、新しい市民講座への第一歩となりました。ここでは、実施した3つのパートについて振り返ります。
パート1 エネルギーと環境ビジネス最前線
パート1は、エネルギーと環境ビジネス最前線というテーマで実施しました。持続可能な社会を実現していくための環境技術や未来の社会に向けてどのような視点が必要かを学ぶパートです。
第2回は、具体的な事例として、南相馬ソーラーアグリパークという太陽光発電と植物工場を通じて体験学習による人材育成の取組を行っている、半谷栄寿さんよりお話を伺いました。
太陽光発電と植物工場の施設を作り、そこに子供たちの体験学習プログラムを組み込み、技術も必要ながら、自ら考え行動する人を育てることに取組むことで福島の復興につながるとお話されました。
第3回は、トヨタ自動車の渡邉浩之さんにクルマを中心とした未来の社会がどのようになって行くかを伺いました。自動車の交通システムを改革していくためには、現代の社会的課題に対して、それを解決するためのシステムを開発する必要があるとのことでした。
パート2 食の魅力・学び・安全
パート2は、日本橋へ会場を移し、更に午後14時半からと、これまでの参加者層とは違う主婦や女性を主なターゲットに「食」をテーマとして実施しました。
第2回は、日本の伝統食をテーマに雑誌「自遊人」の編集長でもある岩佐十良さんにお話を伺いました。
食の健康をテーマに、現代の食生活を疑ってみると、伝統的な食から「早く安く」できる食に代替することで、本来伝統的な食が持っていた私たちに見えない、知らない、発表されていないことが失われることになりかねない。その部分に大切にしなければいけないことがあるのではないかとのことでした。
第3回は、食の安全と放射能をテーマに河田昌東さんにお話を伺いました。放射能について、私たちは事実に目を向け、正しく怖がることが必要としたうえで、福島での線量調査の結果から、セシウム汚染されにくい食品や、食べ物で放射性物質を吸着し排出させるものなど具体的なお話となりました。
パート3 自然のチカラ
パート3のテーマは「自然」。自然の魅力とその力に注目し、その可能性について学ぶことをテーマに実施しました。
第1回のテーマを「森林セルフケア」として、降矢英成さんにお話を伺いました。近年注目される「森林の癒し効果」について具体的に解説いただき、都市近郊でお勧めの森林や自然公園などをご紹介いただきました。森林は、五感を通じた刺激が豊富で、それにより癒しの効果が期待できるとのことですが、「治療」ではなく、森に行って無理なく自分自身をケアする健康法として、一人ひとりが森林の多様な価値に気づき、活用していただきたいとのことでした。
第2回は三陸復興国立公園とロングトレイルをテーマに環境省の鳥居敏男さん、日本ロングトレイル協議会の中村達さんのお二人にお話を伺いました。
鳥居さんからは、国立公園の概要及び、三陸復興国立公園の位置づけと、復興公園を中心としたみちのく潮風トレイルについてお話いただきました。観光と自然資源の保全の両立を目指したエコツーリズムの確立が東北の復興へのひとつの可能性として地元からも注目されているとのことでした。
中村さんからは、世界や日本全国のロングトレイルについて紹介いただきました。また、ロングトレイルが普及することでそれぞれの地域での経済効果の可能性についてもお話いただけました。
第3回は橋谷晃さんにトレッキングの魅力について、語っていただきました。昨今の「山ガール」ブームを、女性だけでなく、あらゆる年代の方々にとってトレッキングが身近になってきたと捉え、その上で、登頂することではなく、時間をかけてしっかり自然を愛でることの素晴らしさをお話しいただいた他、会場からの質問では、具体的なトレッキングの際に知っておくと良いことなどをお話しいただきました。
今年度の市民講座は、それぞれのパートでテーマが大きく違ったことから、パートごとで参加される方も変わっており、より広い層に対してこの講座について知り、学んでいただく機会になったのではないかと感じています。
杉山拓次(JEEF職員)
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。