前回の事務局日誌では、本事業の2020年2~7月の主な活動内容について報告させて頂きました。https://www.jeef.or.jp/blog/bangladeshprogress1/
今回は、上記内容も含め、2021年2月までの1年間で達成した主な取組みについて報告します。本事業は、265世帯の農村生産者を対象とし、6次産業化による生計向上を図ることを目的として実施しているものです。
第1年次では、農畜林水産業の六次産業化へ向けた基盤整備、組織化、能力開発、商品・加工技術の開発とローカル市場での試行販売、エコ・グリーンツーリズムの施設整備・実施等を通じて、当初の予定通り零細農村生産者が6次産業を進めるためのプラットフォームの構築を図ることができました。達成した主な成果は、下記の通りです。
(1) 基盤整備と組織化
- 協同組合の事務所兼倉庫建設。
- 宿泊コテージ4棟の建設。
- ネイチャー観察ボート1隻の建造。
- 毎月、265世帯それぞれが80タカ(100円程)/世帯の組合費を貯蓄。
- Sundarbans Workers Cooperative Society (農畜林水産業に関わる265世帯)が政府の公式な協同組合として登録されました。
(2) 能力開発と商品の試行販売
- 漁師、農業・畜産、非木材林産物やエコ・グリーンツーリズムの各グループを対象とした教材・資料開発(生産・加工技術、販売やサービスの技能)とそれを活用した研修会の開催により、受益者265世帯の能力向上を図りました。
- 商品としては、塩漬けイリッシュ(ニシン科の魚で、バングラデシュを象徴する魚の一つ)、乾燥エビ、カボチャを使った固形菓子、マンゴー等の果実のピクルス、うちわ、写真の額等のクラフトが開発されました。これらの商品は、協同組合事務所の中に設置された販売店やクルナ市における青空市で試行販売が行われました。
- 漁業、農業・畜産、非木材林産物生産の各グループによる3つ以
上の商品開発と販売が行われ、現金収入は世帯当たり10%程増加 しました。また、エコ・ グリーンツーリズム実施グループはホームスティの売上げ等の増加 により、収入は事業実施前から5倍程/世帯の増加となりました。 4グループ共に、当初の目標を達成することができました。
(3) 植林活動を通じた住民の環境保全に対する意識向上
地域住民が参加してマングローブの樹木や果樹等の植林27,700本の実施を通じて、地域住民の森林保全や適切な自然資源の利用に関する意識向上に寄与することができました。
2021年2月~2022年2月(1年間)に渡る本事業第2年次の活動としては、引き続き外務省日本NGO連携無償資金協力の資金源で実施していきます。事業内容としては、農業・畜産、漁業、非木材林産物、エコ・グリーンツーリズムの各セクターにおいて開発した商品・サービスをローカルおよび都市部で本格販売し、対象受益者の生計向上に貢献していくと共に、農村生産の基盤をなす地域の自然環境の保全・管理を図るための植林とその環境教育を進めていきます。
本事業の活動計画紹介ページ
https://jeef.or.jp/activities/sundarbansactivity1/
文責
佐藤 秀樹(日本環境教育フォーラム客員上席研究員/江戸川大学 社会学部 講師)