機関誌「地球のこども」 Child of the earth

小学生を対象にハイフォン市チャンカットゴミ処分場へのスタディツアーが行われました! 2014.10.07

【開催日】2014 年5 月31 日(土)
【開催地】ベトナム社会主義共和国・ハイフォン市
【主催】(独)国際協力機構(JICA)、(JEEF 受託)
【協力】ハイフォン市

「ハイフォン市都環境整備にかかる環 境教育・普及啓発プロジェクト」 は、JICAから受託した草の根技術協 力事業です。JEEFでは、2013年 1月からカウンターパート機関であるハイ フォン市人民委員会(PMU)の協力の下、 同市における住民のゴミ削減を図るため の活動を展開しています。 今回は、5月 31 日(土)の半日に渡り、 ハイフォン市ホンバン地区のグェン・バン・ ト小学校4、5年生( 50 名)を対象とし たチャンカットゴミ処分場へのスタディツ アーについての報告です。本スタディツアー には、小学校の教員、ハイフォン市都市環 境公社(URENCo)、ホンバン地区人 民委員会やPMUの スタッフ 20 名程も同 行しました。今回の 対象生徒たちは、初 めてチャンカットゴミ 処分場を視察しまし た。

チャンカット ゴミ処分場の見学

市内から、 30 分程度、バスに揺られ てチャンカットゴミ処分場へ到着し、同 施設の見学がスタートしました。ゴミが オープンダンピング(野外埋立投棄)さ れている同処分場の周辺ではゴミの腐敗 臭が強いため、子供たちにはマスクが配 布されました。同日は晴天で朝から気 温も 30 度程あったため、ゴミの異臭がひ どく、その臭いに戸惑う生徒も何人か 見られました。

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ゴミの計量測定所を見学

ゴミ処分場を管理している URENCo職員からは、 900 トン╱日 のゴミがハイフォン市から運ばれてくる ことや、ゴミの計量を行うことでハイ フォン市のゴミ排出量の推移を調査して いることが子供たちに説明されました。

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堆肥のつくり方とその利用現場を見学

生徒はハイフォン市から運ばれてくる 生ゴミから、堆肥を作っている現場を視 察しました。URENCo職員からは、 プラスチック等の分解しない不純物の取 り除き方(堆肥を電動のふるい機にかけ ること)や、堆肥は我々が日々食べる野 菜や果物が生長するための栄養物として 施されることが、説明されました。生徒からは、「完熟した堆肥は、なぜ臭いが しないのか」、「堆肥の切り替えしは完成 するまで何回行うのか」等の質問が出さ れました。完成した堆肥は、その効果に 関する試験を行うために、施設内にあ る実験農場の花や野菜に施されており、 生徒たちは実際の栽培現場を見学しま した。

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実験・研究現場の視察

ゴミ処分場内にある研究所では、施 設周辺の水や土壌などへの環境に対する 影響を調査することが定期的に行われています。 ベトナムの小学校には、通常、理科室がないこと もあり、多くの子供たちが驚きと関心を持って顕 微鏡や虫眼鏡などの実験器具に触れていました。 その後、チャンカットゴミ処分場からハイフォ ン市内にあるURENCo事務所へ移動し、子 どもたちによる環境をテーマとした歌の合唱 等の演出後、生徒の代表者が今回のスタディツ アーについて感想を述べました。代表生徒からは、「ゴミ処分場の現場 を初めて見学したこと で、ゴミがどのように処 分されているか、また、ハイ フォン市から毎日いかに多く のゴミが出されているのかを 理解できた。そして、街を綺 麗にするためにURENCo 職員の果たす役割や、一生懸 命働いている職員の声を聞くことができ良かっ た。」との発表がありました。また、「今後も このようなゴミ処分場見学の機会を増やしてほ しい」との要望も聞かれました。

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最後に、URENCoの所長から挨拶があり、「実際に現場に行って自分の目で確かめる学習はとても重要です。今回このような機会を提供してくれたJICAとJEEFに感謝すると共に、今後もこのような活動を増やし、一緒にゴミの課題を解決していってほしい」と述べられ、チャンカットゴミ処分場へのスタディツアーは終了しました。
今後、このようなスタディツアーをより効果的な学習にしていくためには、見学直後に、子供たち同士が意見交換をするセッションをもうけることが必要です。また、堆肥を使って花や木を植える活動や、小規模でも堆肥作りのプロセスを体験するプログラムがあっても良いと思います。さらに、大人の視点でプログラムを組むのではなく、子供の視点に立ってプログラムを作成することが大切です。例えば、URENCo職員が一方的に施設の案内をするのではなく、「これは何をするところでしょうか」、「コンポストはどれぐらいの期間で完成すると思いますか」など、問いかけをしながら子供の理解度を把握してプログラムを進めることが求められます。

文責:佐藤秀樹(JEEF職員)

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