家族の仕事の都合でオランダに来て5年経ちました。日本で年長さんだった長女は現地小学校の最終学年になり、私も子どもを通じてオランダならではの教育を体験する日々です。本連載では、その中で私が「おもしろい!」と感じた場面をご紹介していきます。まずは小学校そのものへのカルチャーショックからどうぞ!
学びのスタイル、科目も自由な小学校
小学校は8学年制で、4歳から入学でき5歳から義務教育です。1・2年生は幼稚園に似ており、3年生から本格的に勉強が始まります。ですが学校により、学ぶ科目やスタイルは様々。というのも、オランダには教育における設立の自由があり、算数や国語等必須科目以外は学校が独自に決めてよいからです。
そのため宗教系の学校、モンテッソーリ、シュタイナー、イエナプランなどの教育メソッド校など、学校のラインナップもバラエティ豊か。また公立私立問わず、認可された学校での義務教育は授業料無償のため、学びの選択について金銭的な壁も高くありません。
一般校でも音楽や芸術の授業が多かったり、プログラミングを取り入れたりと様々です。転校生が来た時に「その科目は習ったことがない」ということもありました。全国どこに行っても基本的に同じ内容で学べる日本との違いは大きな驚きでした。
低学年で留年するということ
もう一つ衝撃だったのは、小学校、特に低学年で留年があること。でもそこには、しっかり基礎を固めてから進級する方が、その子にとって幸せであるという考えが元にあります。年齢と共に学年が自動的にあがり、どんどんついていけなくなるということがないわけです。
22人いる長女のクラスには留年経験者が2人いますが、共にディスレクシア(識字障害)があり、彼らのペースで低学年の間に読み書きの基礎を練習してきました。ですが近年では、ただ時間をかけるよりも学習支援のスタッフがケアにあたり、留年はさせず一緒に学習していく方法も増えているようです。
いずれにしても、子供の頃から日常の様々な場面に「みんな同じ」じゃないことがあふれ、個々の状況に寄りそう姿勢は、オランダ社会全般に感じるものでもあります。