全員必須の中学受験
我が家の長女は小学校最終学年で、現在中学受験シーズン真っ最中。日本のメディアでは「オランダの小学校は宿題もテストもない」と報じられることもあるようですが、実はどんな小学校に通っていてもみな中学受験があります。といっても、日本のような入試ではなく、いわゆる内申書で決まるもの。それも最終学年の成績だけではなく、学習の積み重ねや伸び具合から、その子にあった学習レベルを先生が決定します。
ここでシビアなのが、レベルに応じたコースにしか願書を出せないこと。コースにより教育課程や就学年数が異なるため、中卒・高卒・大学進学といったその後の進路が、この段階でほぼ決まります。また、理系に特化したクラスや、多言語を学ぶクラスなど様々で、進学先選びはなかなか悩みます。
改めて思う、オランダ小学校の特色
さてこのように、将来に関わる受験があるので、オランダの小学校ではカリキュラムを自由に決めていいと言えど、国語や算数の必須科目はどの小学校でも教えます。その他の自由科目の部分で、学校ごとの特色が現れます。しかし共通して感じるのは、個人のペースやレベルを大切にしているということ。初回にご紹介した留年もコース別の中学選択も、全員で歩調を合わせて同じことを学ぶのではなく、その子にとって適切な学習内容を、適切な環境で学ぶことが大事にされていると思います。
以前オランダ語の先生から「学校は子どもが安心して過ごし、自分に合ったチャレンジに取り組み、達成していくところ」というような話を聞きました。まさにその通りだと思います。そして、達成した時にたくさんの褒め言葉を子どもにかけることも大事にされています。オランダの小学校を体験し、日本との違いに驚くこともありましたが、子ども個人の成長や達成を積み上げていき、しっかりほめるというオランダ的なエッセンスは、家庭内でも大事にしていこうと思います。
さて、中学に進学すると一気に勉強が難しくなり、学ぶ内容も宿題も多く、小学校とのギャップに驚く子も多いと聞きます。秋からはどんな学びや体験を積んでいくのでしょうか。未知なる世界のオランダの中等教育について、不安もありつつ、親子で楽しみにしています。