ふと夜空を見上げると、無数の星たちが目に飛び込んできます。
天の川の中心部がよく見える!
父島の中心地にある、大神山公園のお祭り広場では、天の川がとてもきれいに見えます。一つのつながりのように、夜空に弧を描いている様子には圧倒されます。特に、たくさんの星が集まっている中心部分が、白さが濃くよく見えます。
この白さが濃い中心部分には、ブラックホールがあることが以前から知られていて、撮影に成功したことが最近のニュースで話題になりました。
2022/8/23 小笠原村父島でiPhoneで撮影
環境省の全国一斉調査では、各地で調査した星の明るさが発表されます。今年8月の調査結果は、父島21.88、鹿児島21.68、奄美大島21.63、波照間島21.60で、父島の星が明るいことがわかります。(単位:等級/平方秒)街灯のついた商店の前を歩いていて、肉眼で天王星が見られることにも納得がいきます。
漆黒の夜空にカノープスが輝く
2月から3月頃にお祭り広場から見られる星に、カノープスがあります。雲が1つもない時は、まるで星がダイヤモンドのように光り輝き、夜空に星がいっぱいに広がっています。オリオン座がどれなのか、わからなくなるくらいです。その中でもカノープスは、周りに強い光の星がないため、真っ黒の台紙に白い修正液をつけたようにはっきりと見えます。それも、公園の木々の少し上に見ることができます。
過去には、これを見るために島に来られた方と出会いました。それは、カノープスが南極老人星という名前で、見ると長生きをするという伝説があるからです。
望遠鏡のファインダーのメモリが見えない!
美しい星が見られることを地域の子どもたちに知ってもらうために、20年近く星空教室を開催しています。ここでは、望遠鏡を各自で自由に操作できるようにさまざまな望遠鏡を用意しています。
あらかじめ、室内で今日の夜空と、望遠鏡のパーツの名前や注意点を伝えます。そして外へ行き、「壊れても修理をすればいいので安心してね」と伝えて、各自で好きなように鏡筒をぐるぐるまわして観察してもらいます。この練習は、暗い公園で手探りで操作していくのでとても大切です。
まず始めに子どもたちが行うのは、
そして、本番の暗い公園では、ちょっとしたトラブルがあります。それは、「ファインダーの十字線がみえませーん」というもの。「練習した時は見えたのに、どうして見えないの?」という質問に、「それだけ空が暗いという証拠なんだよ」と伝えます。すると、子どもたちは頭を低くし、鏡筒本体の傾きから予想して目的の星を入れていきます。自分たちで考えたやり方で星が見えると喜びも大きくなります。
室内で今日の星空とギリシャなど世界の神話のお話
望遠鏡で練習する子どもたち
遠い島だからこそ、いつまでもこの暗さが続いたらいいなと思います。