清里ミーティング2023「これからの日本型環境教育の提案〜2030ネイチャーポジティブ〜」を12月1日(金)~3日(日)の2泊3日、公益財団法人キープ協会清泉寮及び山梨県立八ヶ岳自然ふれあいセンターで開催しました。
4年ぶりの清泉寮開催!会場の関係で総勢120名と過去よりは小規模ですが、そのぶん密な交流ができたように感じています。
キーワードは「ネイチャーポジティブ」と「連携」
1日目と2日目に2回ある「全体会」では、ネイチャーポジティブの概要と、自然学校や環境教育が担える役割、他業種の連携による広がりを4名のゲストと参加者が一緒に考えました。
全体会1:人々が生き、自然を守る「ネイチャーポジティブ」が目指す世界
全体会1では渡邊綱男さん(一般財団法人自然環境研究センター上級研究員)、松尾章史さん(NPO法人ホールアース自然学校)にそれぞれ登壇いただきました。
渡邊さんからは、生物多様性にまつわる世界の動きと日本の現状、ネイチャーポジティブ(自然再興)の概要についてお話いただきました。
続いて松尾さんからは、富士山麓にあるホールアース自然学校が地域のハブとなり、行政、企業、研究機関、地域の保全団体などを巻き込みながら特定の地域に精通した「ローカル・シンクタンク」として機能する道のりなどについて、お話しいただきました。
おふたりの話を踏まえて、地域における自然共生社会を目指すうえで私たち環境教育を担う人たちが果たせる役割について考え、参加者同士で意見交換を行いました。
全体会2:連携が生むシナジー 自然資本を活用する
2日目夕方の全体会2では、藤田香さん(東北大学教授、日経ESGシニアエディター)と奇二正彦さん(立教大学准教授)に登壇いただき、高野孝子さん(JEEF理事/NPO法人エコプラス代表理事)の進行で行われました。
始まりに環境省環境教育推進室の東岡室長にご挨拶を頂き、環境教育等促進法の改定に伴い新しい方針が示されること、それに対するパブリックコメントを今後募集する予定であることが紹介されました。
全体会1で話された「ネイチャーポジティブを要素に、自然学校が地域のハブの役割を担うこと」を受けて、全体会2では企業と自然学校等の連携について語られました。藤田さんからは各種事例と協働することの意義について、ご紹介いただきました。
奇二さんからは、企業とNPO/NGOが連携するのに必要な要素について、スピリチュアルや価値のブランディングの視点をまじえてお話いただきました。
先にも書いたように、ネイチャーポジティブを全体で進めていくためには、他業種の連携による広がりが重要です。そこで参加者が下げている名札にこっそり色違いのシールを貼っておきました。全部で4色のシールがそろうと企業・行政・NPO/NGO・学生などがそれぞれ混じったグループになります。ゲストの話を踏まえて、自身の立場で何ができるか、どんな協力関係が築けるかをグループでディスカッションしました。
ポスターセッション
インプットだけでなく、アウトプットもできるのが清里ミーティング参加の意義のひとつです。今回は22名の参加者がご自身の活動や考え方などを発表し、聞き手側の参加者と意見交換が活発にされていました。
さて、ずっとしゃべってお疲れの皆様に、JEEFから差し入れ。清泉寮といえばコレ!ジャージーミルク。ホットでひといきついて頂きました。
ワークショップ
JEEF主催のものと、参加者による企画・実施のワークショップを行いました。早朝ワークショップが3本、120分のワークショップが7本、90分のワークショップが4本、計14本を実施。参加者の皆さんにはそれぞれ関心のあるワークショップを事前に選んでいただきました。
知識や事例を知るもの、体験するもの、意見交換するもの、ものをつくるもの、多種多様な内容のプログラムが展開されていました。
特に2日目は、早朝も含めると昼食をはさんで3本のワークショップが続けて実施されます。皆さんへとへとでは…と思いましたが、その後行われた全体会2でも活発に意見交換されていて、貪欲に取り組まれている様子が見られました。
オプションツアー企画
2日目午前と午後のワークショップの間の昼食は少し長めにとって、各々好きに時間を使います。ワークショップのふりかえりをゆっくりする人。お土産をみに、あるいは名物のソフトクリームを食べに行く人。昨日の夜遅くまで交流していたので少し休憩している人。
そして初参加の方のために、この時間を使ってキープさんにオプションツアーも実施いただきました。
なお、これは余談ですがゆっくり過ごされる皆さんのために、本館ホールに火を入れようと思っていたんですが、午前のワークショップに参加された皆さんの活気と熱意が残ってまだ暑かったので、断念しました…。
情報交換会
1日目、2日目ともに夕食の後は情報交換会が開かれました。参加者からの差し入れと、キープ協会の皆さんがバーを開店♪
地元のクラフトビールなどを販売いただき、思い思いに交流していただきました。
途中の時間には野鳥の会参与・安西英明さんによる星空観察会も実施。なんと参加いただいたカールツァイスさんが双眼鏡を貸し出してくださいました!高性能な双眼鏡でいつもよりきれいな星空がみえたことでしょう。好評につき、2日目の夜にも行われました。
夜の時間は、人を紹介する「コンシェルジュデスク」や「リクルートコーナー」も開きます。日能研のショップ「ちえの木の実」にもたくさんの人が集まって、プログラムに使える絵本などを興味深げに見ていました。
情報交換会は22時終了でしたが、まだ話したりない!飲み足りない!という方はハンターホールで二次会へ。隠し持っていた差し入れをここで出すなど、さすが常連さんは戦略的です。
閉会
最後は新館ホールで阿部理事長から閉会の挨拶のあと、レストランでさよならパーティー。3日間舌鼓を打った清泉寮の食事も最後です。
コロナ禍を経て、オンラインでいろいろなことができるようになって便利な一方、直接会って集まらないと感じられない熱もあると改めて感じました。
参加された皆様がそれぞれ得たものを持ち帰り、新しい発展に今後つながっていくことを期待しています。
文責:垂水恵美子(事業部第2事業グループ)
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清里ミーティング2023