「横浜市における海洋プラスチック環境教育プログラム」の一環で、海洋プラスチック問題について学ぶ探究プログラムを提供できるようになるための、大人向けの講座を行いました!
プログラムを提供できる人が増えることで、より多くの子どもたちに、海洋プラスチック問題について学ぶ機会を提供できるようになることを目指しています。
環境問題に関心のある高校生、学校教員、環境問題に取り組む団体の方など、さまざまなフィールドから集まった参加者が学び合いました。
※このプログラムは、ジョンソン株式会社からの寄付金によって支援されています。
まずは大岡川沿いを歩き、街中のゴミの実態を見ていきます。一見キレイに見える道ですが、目立たない道路の端や茂みの中には、お菓子の包装紙やタバコの吸い殻、飲み物の容器など、さまざまなゴミが落ちています。
そして、ただゴミを拾うだけではなく、「どうしてここにこのゴミがあるんだろう?」「どんな人がここにゴミを捨てたんだろう?」と、推理をしてみます。
待ち合わせをしている間に吸ったタバコを、そのまま捨ててしまった?小さな鞄に入らなかった飲み物のビンを、後ろめたく思いながらも、茂みの中に隠してしまった?
集めたゴミを題材に、なぜこのゴミがここにあるのか、どうしたらこのゴミはポイ捨てをされずに済んだのかを考えていくことで、人々の暮らしとゴミ問題の結びつきの深さが浮き上がってきます。
また、地域単位でのポイ捨て対策を考えたり、どんな人にアプローチをしたら街のゴミが減っていくかを考えたりなど、より広い視点での環境問題の対策に目を向けることにつながります。子どもたちと一緒に活動をする時にも、大切なポイントです。
午後からは場所を移して、日本環境教育フォーラムが、実際に横浜市内の小学校で提供しているプログラム「うみとプラスチックのおはなし」の体験に続きます。
「プラスチックは、海の中の、どこを流れてくるの?」
「海の砂や水の中に、マイクロプラスチックはどれくらい混ざっているの?」
「プラスチック製品のうち、プラスチックを減らしたり、別の素材に置き換えられそうなものは?」
そんなテーマについて、実験・観察・話し合いを通して考えていくプログラムなのですが、このプログラムの中では、一つの決まった正解を伝えることはありません。
自ら実験して、観察して、海洋プラスチックの影響について考えたり、プラスチック問題に対して自分にできることを考えていく――今回のワークショップでは、子どもたちがこのプログラムを受けた時にどう感じるのかを、実際に自分が体験することで、知っていきます。
さまざまなプラスチック製品について「プラスチックがいいもの」「プラスチックを減らせるもの」「プラスチック以外の素材に置き換えられるもの」に分類をしてみる活動の中では、一人一人の参加者の方が、それぞれ違った意見や想いを持っていました。
プラスチックが海を汚しているという現状がある一方で、私たちの生活がプラスチックに支えられていることも事実です。そして、人によって、「これはプラスチックがいいけれど、これはプラスチック以外でいい」と思うものも異なります。
だからこそ、プラスチックを悪と決めつけたり、別の人のライフスタイルや考えを否定するのではなく、「自分にできるプラスチック対策」を、前向きに、現実的に考えていくことが大切です。
それぞれのグループで、活発に、そして和気藹々と話し合っている姿がとても印象的!「違う意見が、視点を広げる」ことを体験する時間となっていたように思います。
そして、プログラムを体験したあとは、実際に子どもたちにプログラムを提供する時のポイントも学んでいきます。
最新の海洋プラスチック問題に関するデータや、子どもたちと関わるときのファシリテーションのコツなど、実践の時に役立つ情報を、ぎゅっと詰め込んでお伝えしました。
講座に参加した方からは、
「プラスチックに対してニュートラルな指向でありながら、環境問題を各自へ提供する手段がとても勉強になりました」
「自分が実際に体験すると共に、その背景にあるプラスチックの現状や、ファシリテートする時の考え方を学ぶことができました。子どもたちに、マルかバツかではない思考をさせることは普段から意識していることでもあり、より一層その思いを新たにしました」
「将来は子どもたちが環境に興味をもつきっかけ作りを行いたいと考えているが、その活動を行う際に取り入れたい内容が沢山あり、視野を広げることができた」
といった感想をいただきました。
今回の講座の参加者の方が、それぞれのフィールドで、子どもたちや親子にメッセージを伝えていくことで、海を守っていくアクションがさらに広がっていくと信じています。
引き続き、横浜市から、海を守るためのアクションを続けてまいります!