「バングラデシュ・ジョショール県における零細ヤシ糖生産者と花卉農家の6次産業化を通じた生計向上プロジェクト(第2年次)」は、2024年5月より外務省の日本NGO連携無償資金協力の支援を受けて実施されています。
第1年次事業(2023年5月~2024年4月)では、135世帯の零細農村生産者を対象に、協同組合の設立と研修会を通じた6次産業化に必要な技能向上を図りました。
ここでは、2024年5月から実施されている第2年次事業の進捗について報告します。
1.農村生産者協同組合の組織運営・基盤の定着
プロジェクト第1年次において、135世帯の農村生産者が参加する協同組合が設立され、組織運営の基礎が築かれました。
第2年次では、メンバーに対して定期的な会議や意思決定プロセスを実践する機会が提供され、運営力の向上が図られています。
また、メンバーのリーダーシップも確立されつつあり、組織の意思決定が迅速かつ透明性をもって行われるようになり、協同組合としての基盤強化に貢献しています。
なお、組織の拠点となる事務所兼倉庫の建設も現在行われています。
2. 適切な生産技術の習得や商品開発・サービスを行う技能定着と商品の販売拡大
「ヤシ糖の加工と包装」「ヤシ糖の品質管理」「ヤシの葉を使用した多様な手工芸品開発」「花卉の一部を使用した手工芸品の製造」に関する研修マニュアルがそれぞれ開発され、それを活用した研修会も開催されました。
研修会を通じて、ヤシ糖や花卉の生産技術が向上し、品質の安定化が図られた。特に、収穫や加工の効率が向上し、生産者の技術力が底上げされました。
また、新たな商品の開発やパッケージの改善が進み、消費者ニーズに対応した製品となったことで、商品の魅力が高まりました。さらに、8店舗での新たな販路開拓により、商品の認知度も向上しています。
さらに、協同組合によるパンフレットの作成やSNSによるプロモーション活動を推進し、本活動や商品に対する認知度の向上に寄与しました。
3.有機農業をテーマとした環境教育の普及
10校の小学校で、有機農業の利点や持続可能な農業実践に関する環境教育プログラムが継続的に実施されています。
実践的な学習を通じて、有機農業の重要性や自然資源の保護の大切さが伝えられ、生徒たちの環境意識が向上しています。
第2年次の後半も引き継続き、協同組合の組織基盤強化、生産技術と商品開発の向上、および地域への環境意識の普及を通じ、受益者135世帯の生計向上に貢献していきます。
今後は、協同組合の組織力とリーダーシップの強化を図り、持続的な組織運営の実現に努めていきます。
また、生産技術を向上し、地域資源を活かした新製品の開発や販路拡大に取り組み、収益基盤の安定化を目指します。
そして、SNSやイベントを活用したプロモーション活動により、商品の魅力発信とブランド構築を図っていきます。
有機農業の普及啓発では、環境教育を小学校から地域全体にも広げ、環境保全の意識醸成を推進していきます。
第1・2年次事業計画ウエブサイト
https://www.jeef.or.jp/activities/jashore_bangladesh/
第1次事業中間報告ウエブサイト
https://www.jeef.or.jp/blog/20231128/
第1次事業完了報告ウエブサイト
https://www.jeef.or.jp/blog/bangladesh202408/
文責: 日本環境教育フォーラム 客員上席研究員/江戸川大学 社会学部 准教授
佐藤 秀樹