清里ミーティングは、さまざまな業種、世代の参加者が全国から集い、持続可能な社会づくりに貢献できる人材育成について学び合う2泊3日の対話型イベントです。12月6日(金)~8日(日)の2泊3日、公益財団法人キープ協会清泉寮及び山梨県立八ヶ岳自然ふれあいセンターで開催しました。
通算38回目となる今年のテーマは「共感されるストーリーのつくりかた」。日本の自然体験活動は、この30年で全国的に実践されるようになりました。しかし、誰もが当たり前に参加するものになるためには、さらに多くの人に自然体験活動の意義が伝わる言葉(ストーリー)が必要です。
これから活動に参加する人、実践者になっていく人たちの背中を押すような共感を呼ぶストーリーを描き、さらに自然体験活動が広がっていくためのヒントを探る3日間となりました。
ゲストによる話題提供
全体会1:自然体験のものさし~変化を測る、伝える~
自然体験がはぐくむ力って、どう説明できる?
自然のもたらす癒やしの効果って?
そんな疑問に科学的な“眼“でアプローチしているふたりの研究者から、参加者の変化をとらえ、自然体験の魅力を語る実例をお話しいただきました。
エビデンス(データを用いた効果測定)とファクト(体験)の両方がそろって、初めて「共感」が生まれるという話がされました。
参加者同士で意見交換(ぺちゃくちゃタイム)しながら、それぞれが自身の活動や研究と結びつけ、これからの3日間でどう落とし込むかを考えました。
全体会2:この瞬間を共有したい!〜センス・オブ・ワンダーを伝える言葉
はじまりに、環境省環境教育推進室室長の黒部室長より、ご挨拶ならびに環境教育の最新動向について解説をいただきました。
2日目は2本(早朝ワークショップを含めると3本)のワークショップ後の時間での全体会となりました。
自然に触れて子どもたちの心がワンダーした瞬間は、私たちの感じている自然体験活動の意義や魅力のひとつです。そんな魅力をたくさんの人に伝えることで、自然から離れて日々を過ごす人たちが自然のなかに足を踏み入れるきっかけをつくりたい。でもうまく伝わっていないのでは…。
人の心を揺さぶる自然の魅力やその意義を写真やことばで発信するおふたりから、見る人の心に訴えかける伝え方をお伺いしました。
共感されるストーリーは、そこにあるもの。私たちがそれをどう伝えるか、私自身にもたくさんのトキメキ(心動かされる体験)が日々必要であるという話がされました。
参加者によるたくさんの”火付け”
清里ミーティングが大事にしているひとつが「参加者が主役であること」。今回、”火付け役”となっていただいた参加者の名札には焚き火のスタンプを押させて頂きました。
参加者からどんどん放出されるエネルギーが、3日間を大いに盛り上げてくれました。
ポスターセッション
1日目に行われたポスターセッションは、参加者からの最初の”火付け”です。今年は25組から発表が行われました。
模造紙にたくさん書き込んだもの、手書きでイラストや画用紙でレイアウトしたもの、A4用紙を何枚も重ねて好きにめくって見られるもの、複数のKP(紙芝居プレゼンテーション)を用意して聞き手の希望によって内容をかえるもの。発表方法は本当にさまざまです。これだけ自由なかたちの「ポスター」があるのは、清里ミーティングの強みではないでしょうか。
各ポスター前では活発な意見交換が行われ、熱気あふれる時間となりました。しゃべりっぱなしの参加者の皆さまへ、事務局からジャージーのホットミルクをふるまって、喉をうるおしていただきました。
参加者企画ワークショップ
清里ミーティングでは参加者がワークショップを企画・実施し合いながら、お互いの学びをつくっていきます。今年は2日目と3日目に11本(早朝ワークショップを含めると14本)が実施され、参加者の皆さんにはそれぞれ関心のあるワークショップを事前に選んでいただきました。
知識や事例を知るもの、体験するもの、意見交換するもの、ものをつくるもの、多種多様な内容のプログラムが展開されていました。
いつの間にか始まる「○○タイム」
中野先生の”続きの時間”
全体会1登壇の中野友博先生から、「希望があったので少しだけ”続きのお話”をします!」の一言で始まった時間。
野外教育の効果測定について、深堀する話が2日目夜の夕食前の時間で行われました。
Under30の集い
今年の清里ミーティングは、例年より比較的若い世代が多く参加してくださいました。
2日目情報交換会の時間に始まったのは「Under30(30代以下)の集い」。同世代が集まって、交流を深めていました。
ケーピー川嶋のお笑いライブ
情報交換会の時間、ロビーでは”お笑いライブ”が開催!KP法(紙芝居プレゼンテーション法)による笑いの声が賑やかでした。
情報交換会で交流を深める
ワークショップ、食事、休憩時間、全体会でのペチャクチャタイム、ポスターセッション後のミルクタイムなど、参加者同士が意見交換を行う時間は多くありますが、交流の中心と言えばやはり、夜の情報交換会です。
人と組織の紹介所「コンシェルジュデスク」、環境教育の求人・求職の紹介コーナー「環境教育リクルートコーナー」などもオープン!絶えず人が訪れ、賑わっていました。
今年も日能研様(協賛)からセレクトショップ「ちえの木の実」を出店いただきました。
4月にジャパンGEMSセンターから名称変更して生まれ変わった「ELMSセンター」の体験ブースも大盛り上がり。参加者の皆様からもたくさんの差し入れをいただいて、会場はいろんな地域色を舌でも目でも味わいました!
JEEF安西理事による星空観察会では、カーツァイスさんから双眼鏡の貸出をしていただきました!感動の声が多数…
閉会
最後はJEEF事務局長・加藤超大より、閉会のご挨拶にて清里ミーティング2024は幕を閉じました。
清里ミーティングは2泊3日のあいだ、朝は7時から早朝ワークショップ、夜は情報交換会の終わる22時半(あるいはもっと遅くまで二次会で)まで、たくさんのインプット/アウトプットを行います。
今回は夕食前の時間に休憩時間を入れたり、昼食の時間を長めに設定したり、それぞれがゆっくり消化する時間をとりいれました。とはいえ中には「もっとインプットがしたい!」方もいますので、そういう方にはキープ協会による「オプションツアー」の参加や、日能研様によるセレクトショップ「ちえの木の実」のショップでのお買い物など、思い思いに過ごしていただきました。
プログラムの間で自身の考えや意見をふりかえり、誰かと交流しながらアウトプットし、またそれに対するフィードバックをもらい、次のプログラムで新たにインプットする。長い3日間もあっというまだったのではと思います。
スタッフ含めた約130人が集う場では、参加の目的もそれぞれです。皆さんの参加の目的は、達成できたでしょうか。
同じ悩みや課題を持つ人と出会い、あるいは似た壁を乗り越えた経験のある人からのアドバイスを得たり、同じ年代、同じ地域、あるいはこれから行くであろう地域の人たちと、この清里の地で出会ったのも何かのご縁です。
参加者同士が語り合う3日間を過ごし、自分と異なる視点の意見や感想を聞いて、得られた気づきはありましたか?
いろいろな学び方、表現方法、考え方を意見交換しながら、目の前で起こる”ストーリー”をどう伝え、仲間を増やしていくのか、その答えは参加者1人1人によって異なり、答えを見つけられないままモヤモヤを持ち帰った人もいるかもしれません。
その先の答えをぜひ引き続き、探していっていただければと思っています。
文責:垂水恵美子(総務部)