地元リーダーから構成される、CBSTワーキンググループメンバーたち
4月半ば、RSPNスタッフ4名とJEEFブータン駐在員の私、計5名で、プロジェクト・サイトであるハに約2週間滞在し、CBSTワーキンググループの結成と、ベースライン調査を行いました。
CBSTワーキンググループの結成
4月14日、ハ県事務所職員、プロジェクト対象地域であるブジ郡、エス郡、カツォ郡の郡長、ジグミ・ケサル自然厳正保護区職員、漁業センターの職員からなる、“ハCBSTワーキンググループ”を結成しました。結成会議では、ポプジカの事例からCBSTのコンセプトを説明した後、ワーキンググループの達成目標や、それぞれの役割を確認しました。彼らが、ハでのCBST事業を実際に推進していく担い手となります。
驚いたことに、彼らのツーリズムに対する問題意識、ならびに期待はすでにとても高く、トレッキングルート開発や文化資源の活用、ます釣りのアクティビティ化など、会議中は様々な意見が飛び出しました。RSPN側からは、CBSTはホームステイ開発に留まらず、幅広い観光アクティビティの開発も含んでいること、そして、コミュニティへの利益の還元が最優先であることを強調しました。
早速、5月上旬にワーキンググループのメンバーで、ポプジカへのスタディー・ツアーへ行くことが決定。「ポプジカの現場をはやく見てみたい!」と、皆期待に満ち溢れている様子でした。彼らの期待を裏切ないように、またメンバーのモチベーションを維持しながらプロジェクトを推進していこう!と、RSPNスタッフ一同も勢いの良いスタートを切りました。
ベースライン調査
続いて着手したのは、ハ地域コミュニティの現状を把握するための社会経済調査。地域住民の抱える問題やニーズ、モチベーションを細かく把握すると同時に、どのような観光素材が眠っているかというポテンシャルを探る、いわゆる「宝探し」も行っていきました。この調査は、プロジェクトの中身を形作っていくのみならず、プロジェクト終盤で事業前後の比較をし、成果を確認するためのベースを築く、とても大切な下準備とも言えます。
まずは、RSPNの調査専門スタッフが、調査計画や質問表を作成。①個別インタビュー形式、②グループインタビュー形式、③GIS地図調査の3本柱で調査を実施していきました。
個別インタビュー形式では、既存のホームステイ農家、ホテル、ツアーオペレーターなど合計25名へのインタビューを実施。グループインタビューでは、ハの対象地域コミュニティ9グループ、地元リーダーグループ、県職員グループ、民間業者グループ、国レベルの関連機関グループ、ツアーガイドグループの、計14グループ91名に対し、インタビューを行いました。地域コミュニティグループとのディスカッションでは、地元にどんな名所があるかを探る「リソース・マッピング」と、季節ごとの農作業や宗教儀式を知るための「年間カレンダー」も作成。ほとんどのインタビュー対象者は、しっかりと自分の意見を持ち、ツーリズムの現状や今後の期待について、RSPNスタッフたちに熱心に語りかけてくれました。
2週間のハ滞在により、私もRSPNスタッフ達も、ハを“第二の故郷”と思えるくらい、地域に親しみが沸き、コミュニティの人たちからも徐々に受け入れられていくのを実感しました。ベースライン調査レポートが完成したら、また内容をご紹介いたします。お楽しみに!
文責:JEEFブータン駐在員 松尾 茜