バングラデシュ・スンダルバンス地域における漁師の持続的なマングローブ林の利用と生物多様性保全を通じた生計向上プロジェクトを開始してから、2年が経過しようとしています。今回は、マングローブ植林(本村落の沿岸部)、天井を利用した野菜栽培(塩害対策)やカニの養殖が順調に行われています。マングローブ植林は洪水から同村落を守るためにも重要であり、また、野菜は家庭で消費する分を栽培して家庭の栄養改善に寄与しています。カニ養殖は、12世帯が取組んでおり、飼育したカニは仲介業者に売り渡しています。カニ養殖は、現金収入の向上につながっていますが、市場の価格変動を受けやすい側面もあることから、仲介業者の買取り価格が一定しないことが課題として残っています。
カニ等は複数の仲介業者を通して小売店、消費者へと届くことになります。村落の人々が仲介人を通さずに販売することは現行の市場システムでは難しいですが、仲介人が儲かるだけでなく真の販売人である村民が公平な価格で売ることのできる仕組みづくりに引き続き挑戦していきたいと思います。
文責: 国際事業部 佐藤 秀樹