バングラデシュ・シードバンクの設立を通じた里山農業保全活動

バングラデシュ・シュンドルボン地域におけるコミュニティベース型
シードバンクの設立を通じた里山農業保全活動

本事業は、JEEFのバングラデシュのパートナー団体であるバングラデシュ環境開発協会と協働して、2019年7月~2020年3月の期間に渡り、三井住友信託銀行株式会社(公益信託地球環境日本基金助成)からの資金源により実施しています。

1.事業の背景と目的

事業の対象地域は、ユネスコの世界自然遺産およびラムサール条約に登録されているバングラデシュのシュンドルボン(The Sundarbans)と対岸を接する農村部です。当該地域の農業は、緑の革命以降、人口増加に伴う農業生産量の効率を図る目的で、農薬や化学肥料を多用するハイブリット品種が導入されました。そして、地域固有の在来作物はハイブリット品種の拡大によって減少してきました。農薬や化学肥料の多用は、人間の健康への影響と共に、同地域の生物多様性の損失や、動植物の生息・生育場所の減少につながっています。

このような状況の下、地域の農作物の在来作物品種を見直し、その適切な栽培・保存・利用や環境保全型農業を進めることで、農業生態系の保全や住民の生活改善を目指す必要があります。また、地域固有の伝統的農作物の歴史、文化を地域住民が在来品種の栽培・保存・利用を通じてあらためて認識することで、その地域固有の自然環境の重要性を後世に伝えていくことが農村生態系・農村社会の持続性の観点から重要です。以上から、本事業では農村地域住民が主体となって農作物の種子を収集、貯蔵するシードバンクの設立による適切な自然資源管理の下で里山保全農業を進めるための仕組みづくりを行うことを目的として実施します。

2. 活動内容と期待される効果

第1年次は、カウンターパートや協力団体と連携しながら、在来作物品種の栽培・保存・利用や環境保全型農業を進めるための基礎調査、組織形成とその強化、計画策定、圃場での実践的研修会の開催や教材開発等を行います。

■活動内容

    1. 関係者とのインセプションミーティング開催
    2. 事業紹介パンフレット作成
    3. 在来作物品種や環境保全型農業を進めるための調査(種子の種類・保存方法、伝統的な環境保全型農業技術の把握、政策等)
    4. 農業者40名の選抜
    5. 地域住民主導によるシードバンク委員会の設立
    6. 委員会運営に関する研修会の開催と運営計画の策定
    7. 在来作物品種の栽培・保存・利用と環境保全型農業の計画策定
    8. 圃場整備、在来作物品種の栽培・保存・利用や環境保全型農業に関する研修会、圃場モニタリング
    9. 地域住民が理解可能な在来品種の栽培・保存・活用や環境保全型農業促進のための学習冊子作成とその普及啓発

■期待される効果

  1. コミュニティベース型のシードバンク委員会が設立されることで、地域住民主体の在来作物品種の栽培・保存・利用や環境保全型農業促進の基盤を形成することができる。
  2. 在来作物品種の種類の特定や環境保全型農業技術の内容が明確になる。
  3. 在来作物品種の栽培・保存・利用や環境保全型農業を促進するための農業者リーダー(40名)を育成することができる。
  4. 研修会や学習冊子を開発することで、地域住民の在来作物品種の栽培・保存・利用や環境保全型農業に関する適切な知識の提供およびその重要性を普及啓発することができる。
  5. 在来作物品種の調査並びに地域住民主体の在来作物品種の栽培・保存・利用や環境保全型農業の計画が策定されることで、当該地域における里山農業保全の方向性が明らかになる。

第2年次は、対象地域における500名の農業者に対し、在来作物品種の保存・活用・栽培や環境保全型農業の普及啓発を図ります。シードバンク委員会では、引き続き在来作物品種の保存に関する品質向上や環境保全型農業の改善等について検討を行い、その必要性について行政レベルに働きかけていきます。また、農業者の生計向上を図るため、農業資材会社等と検討してローカルレベルでの在来作物の販売による生計向上を目指します。さらに、在来作物品種を活用した料理冊子を活用し、同地域を訪れる観光客に対して郷土料理を提供すること等を検討します。

■活動内容

    1. 対象地域において、直接受益者40世帯の農業者が500の農家を対象とした在来作物品種の保存・活用・栽培や環境保全型農業の普及啓発研修会の開催(100人×5回)
    2. 在来作物の栽培と種子の継続的な保存
    3. 資材購入(種子保存用のポット等)による基盤の強化
    4. 直接受益者40世帯を対象とした在来作物品種の保存・活用・栽培や環境保全型農業の技能向上のための研修会開催(3日間)
    5. 11の公立小学校を対象とした在来作物品種や環境保全型農業の重要性を説明したポスター(500部)の開発とそれを活用した普及啓発活動
    6. 在来作物を使用した料理のレシピをつくるための研修会と試食会の開催(2日間)
    7. 在来作物を使用した料理のレシピ冊子本(300部)の開発
    8. 当該地域を訪れる観光客への在来作物を使用した料理の提供
    9. 在来作物のマーケティングの検討とローカル市場での販売
    10. クルナ県・郡の農業普及局、地方自治体等の行政機関との在来作物品種の保存・活用・栽培や環境保全型農業の政策に関する意見交換会の開催
    11. 事業のモニタリング、必要に応じて農業者への技術助言

■期待される効果

  1. 直接受益者40世帯が500名の農業者に在来作物品種の保存・活用・栽培や環境保全型農業の普及啓発研修会の開催することで、お互いの相互学習による相乗効果が高まり、彼らの技能が向上する。
  2. 在来作物品種の保存・活用・栽培や環境保全型農業に関する技術の向上・確立を図ることで、地域主導型シードバンクの仕組みを構築することができる。
  3. 在来作物を使用したレシピ冊子本が開発されることで、在来作物を用いた伝統的調理方法を見直すきっかけをつくることができる。
  4. ローカル市場における在来作物のマーケディングを開拓することで、在来作物の意義や受益者の生計向上につなげることができる。
  5. 小学生を対象とした在来作物品種の保存・活用・栽培や環境保全型農業の重要性を理解するためのポスターが開発されることで、次世代を担う子どもたちの知識習得とその意識を高めることができる。

このプロジェクトについて

プロジェクト期間 2019年7月~2021年3月
対象地域 バングラデシュ・クルナ管区(Khulna Division)、クルナ県(Khulna District)、ダコップ郡(Dacope Sub-district)、バニシャンタ行政村(Banishanta Union)
対象者 農業者40名
SDGs
カウンターパート バングラデシュ環境開発協会(Bangladesh Environmental and Development Society)、現地NGO
協力団体 クルナ県・郡の農業普及局、地方自治体、クルナ大学、農業資材会社、地域住民等
助成 三井住友銀行株式会社(公益信託地球環境日本基金助成)

  

お問い合わせ

公益社団法人日本環境教育フォーラム(JEEF:ジーフ) 担当:山口
住  所:〒116-0013 東京都荒川区西日暮里5-38-5 日能研ビル1階
電  話:03-5834-2897 営業時間:9:30~17:30(土日祝を除く)

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