漁師等による漁業組合250名と10の小中学校のエコクラブによる適切な自然資源利用を通じたバングラデシュ・スンダルバンス地域の沿岸流域保全活動が、2016年4月よりイオン環境財団のご支援を受けながら進めています。
漁業組合や教材開発の専門家により、小学・中学生向けの里海を学習する体験型の3種類のゲームが開発されました。一つ目のゲームは水生動植物、二つ目はスンダルバンスや川・ベンガル湾に生息する様々なイルカやカメの種類、三つ目はイルカやカメに対して人間による環境破壊活動の現状をテーマとしました。3種類のゲームは、イルカやカメの保全を行えば環境は豊になり、逆に破壊すれば生態系が乱れて私たちの生活環境に悪影響がもたらされる内容としました。
そして、漁業組合と協力しながら、開発された体験型プログラム(ゲーム等)を活用し、10のエコクラブに対する環境教育を実施しました。生徒たちは開発された教育ゲームを通じ、スンダルバンス沿岸流域の里海保全、その生物多様性、また、イルカとカメの生息地や、その重要性について学習しました。
また、漁業組合や10のエコクラブは、スンダルバンス地域と対岸側の沿岸流域に2500本(0.5ha)程のマングローブやモリンガ500本を学校で植林を実施しました。
さらに、漁業組合の漁師(女性)を対象とし、非木材林産物(マングローブの実を使用したピクルス)の商品案を開発しました。本取組みはバングラデシュの全国紙に紹介されその周知が図られたと共に、代替生計向上へつながる画期的な第一歩であったと言えます。
本活動に参加された皆さんからは、下記の感想を頂きました。
●漁師のIsrafil Boyatiさん:
漁業組合は同地域に住む私たちにとってのマイルストーンとなっている。我々は、イルカとカメを含めた地域主体の里海保全を積極的に進めていきます。
●小学校の生徒Pritish Barmon君:
僕たちはエコクラブを通じてイルカとカメ、スンダルバンスの里海を一緒に守り、そしてこれらの保全について両親にも教えてあげるんだ。
●マングローブ植林に参加した小学校の生徒、Pranto Bormon君:
僕は、マングローブが洪水等の自然災害による被害を防止し、ピクルス等の食を提供してくれることを学んだ。
●モリンガ植林に参加した小学生のTonusree Mondalさん:
モリンガはスンダルバンス地域に自生している木で、たくさんの栄養が含まれており、カレーにいれて食べると元気になるんだ。
今後は、10のエコクラブによる環境絵画コンテストの実施、同地域のイルカ/カメの保全や生物多様性の重要性および地域の適切な自然資源の活用方法を観光客へ解説するためのプログラム開発(イルカやカメを混獲してしまった場合の対処方法の実演、植林、非木材林産物<手工芸品:ニッパヤシを活用したバスケット等>)し、スンダルバンスの里海の持続的な保全および同地域資源の有効利用の両立を図りながら、地域住民の生活・生計向上を図るためのモデル構築を目指していきます。
文責: 国際事業部 佐藤 秀樹