外務省日本NGO連携無償資金協力の資金源により、2020年2月から約3年間で実施してきたバングラデシュ・シュンドルボン(The Sundarbans)周辺の農村部の零細農村生産者を対象とした農畜林水産物の6次産業化とエコ・グリーンツーリズムのプロジェクトが2023年3月で無事終了しました。
本事業では、対象地域の直接受益者である零細農村生産者(265世帯)が農畜林水産物の6次産業化により生計向上の達成を目指すことを目標として実施してきました。今回は、本事業の3年次事業の実施期間あたる2022年3月~2023年3月の活動内容を含めて3年間の成果を報告します。
【写真】組織運営のための能力強化研修会
本事業の受益者である零細農村生産者は、農畜林水産物の6次産業化による付加価値のある商品の開発、生産者が中心となって開拓してきた独自の市場販売ルートや滞在型のエコ・グリーンツーリズムを実施してきました。バングラデシュ全国において商品を販売する約30店舗の開拓や国内の10万人以上の人たちへのプロモーション等、精力的にアピールをしてきました。
その結果、世帯当たりの平均現金収入は事業実施前と比べると漁業、農業・畜産、非木材林産物生産の各グループではそれぞれ50%増加、エコ・グリーンツーリズムは10倍以上増加しました。SDGsの目標達成で言えば、目標1「貧困をなくそう」や、マングローブ等の住民参加型の植林とその環境教育も継続して行ってきたことで、SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」等に貢献できたと言えます。
【写真】漁師グループ 【写真】農業・畜産グループ
【写真:左】非木材林産物グループ
【写真:右】エコ・グリーンツーリズムの一つとして実施した大学生向けのネイチャーキャンプ
【写真】青空市での商品販売 【写真】植林と環境教育活動
本事業では、零細農村生産者が農畜林水産物の6次産業化による生産技術、商品開発、加工技術やマーケティングに関する技能向上によって、農畜林水産物の6次産業化を波及させていくためのモデルケースの創出を図ることができました。
今後は、これまでの活動による教訓を活かし、関係者との連携・協働を通じて他地域への拡大を図ることで、当該地域住民の包摂的な地域づくりへ寄与していけるよう、現地のNGOや関係者と共にフォローアップしていきます。
なお、下記のウェブサイトは、本事業のプロモーションウェブサイトとなります。
Banojibi(プロモーションウェブサイト)
※本事業全体の活動計画、第1・2次の活動完了報告と3年次の活動進捗の内容は、下記のウェブサイトに掲載しています。
文責:佐藤 秀樹
(江戸川大学 社会学部 現代社会学科 専任講師/日本環境教育フォーラム客員上席研究員)