「バングラデシュ・ジョショール県の零細ヤシ砂糖生産者と花卉農家の6次産業化を通じた生計向上プロジェクト(第1年次)」は、2023年5月から外務省日本NGO連携無償資金協力の支援により進めています。第1年次事業では、零細農村生産者135世帯を対象とした6次産業を進めるための基盤整備、組織化や能力開発を図ることを目指して実施しています。
本事業の開始から半年が過ぎたことから、これまで主に実施した活動について報告します。
1.農村生産者協同組合の組織・基盤の形成
(1)ヤシ砂糖、花卉、手工芸品、アグロツーリズムのグループ135世帯の選定や、受益者による「ジョソール地区伝統製品生産者協同組合」を設立し、運営メンバー6名の選出を行いました。
また、協同組合として登録するための書類を行政機関に提出しました。
(2)協同組合の運営や事業の進捗を把握するため、協同組合のメンバーは定期的な月例会議やワークショップの開催、プロジェクトを紹介するためのパンフレットを作成しました。
2.適切な農作物の生産技術の習得や商品開発・サービスを行うための技能向上
(1)ヤシ砂糖の生産・加工技術、手工芸品づくりや花卉栽培を習得するためのトレーニングマニュアの作成、並びに商品開発のための意見交換会・ワークショップを開催しました。
(2)2つの場所にて、コミュニティベース型ヤシ苗床を設置しました。
ヤシ砂糖グループが中心となって511本のヤシの苗木がコミュニティの道路沿いに植えつけられ、定期的なモニタリングを継続しています。
3.コミュニティベース型オーガニックファーミングをテーマとした環境教育の実施
プロジェクトチームが中心となり、協同組合や行政と連携しながら、野菜や花を対象とした学校でのオーガニックファーミングの開設と環境教育プログラムを実施する10校と150人の生徒が選定されました。
オーガニックファーミングは10校にて順次実施されており、菜園の管理は生徒が主体となって進められています。
今後は、協同組合、プロジェクトチームや各専門家等のステークホルダーと協働・連携しながら、研修マニュアルを活用して受益者135世帯による商品開発や市場販売へ向けた技能向上に取り組んでいきます。
▽第1年次事業計画ウエブサイト
https://www.jeef.or.jp/activities/jashore_bangladesh/
文責:日本環境教育フォーラム客員上席研究員/江戸川大学社会学部専任講師
佐藤 秀樹