「バングラデシュ・ジョショール県における零細ヤシ砂糖生産者と花卉農家の6次産業化を通じた生計向上プロジェクト(第1年次)」は、2023年5月より外務省の日本NGO連携無償資金協力の支援を受けて実施されています。
第1年次事業では、135世帯の零細農村生産者を対象に、6次産業を推進するための基盤整備、組織化、能力開発を目指して活動を進めました。
今回は、2023年5月から2024年4月までに実施した第1年次事業の主な成果について報告します。
1.農村生産者協同組合の組織・基盤の形成
135世帯の直接受益者を選抜し(ヤシ砂糖生産グループ50世帯、手工芸品グループ30世帯、花卉生産グループ50世帯、アグロツーリズムグループ5世帯)、これらのグループによって「ジョソール地区伝統製品生産者協同組合」が設立されました。
この協同組合は、地域資源を活用した生産活動の持続的な発展を支える組織基盤として機能していくことが期待されています。
2.適切な農作物の生産技術の習得や商品開発・サービスを行うための技能向上
ヤシ砂糖の生産・加工技術、手工芸品づくり、花卉栽培、アグロツーリズムの習得を目的としたトレーニングマニュアルおよび教材の作成と研修会の開催を通じて、継続的な能力開発の基盤を構築しました。
また、これらの教材を活用した商品開発研修会や、ワークショップを通じたマーケティング戦略のアイデア創出、試行販売も行いました。
さらに、これまでバングラデシュで実施してきた「シュンドルボン地域の農畜林水産物の6次産業化による商品やエコ・グリーンツーリズム」と連携・協働した販売網を確立するため、スタディツアーなどを実施しました。
各グループの技能向上の結果、事業実施前の現金収入(各グループの目標:5%増加)を上回り、当初の目標を達成することができました。
3.コミュニティベース型オーガニックファーミングをテーマとした環境教育の実施
コミュニティベース型オーガニック菜園を10校の学校に設置し、有機野菜栽培を通じた環境教育を計900名の生徒に実施しました。
菜園では、生徒たちが主体となって野菜や花の植え付けや管理を行いました。
また、オーガニック野菜を使った料理交流イベントも開催しました。
以上を通じて、生徒たちは環境に配慮した農法の知識・経験を深めることができました。
2024年5月からは、第2年次事業がスタートしています。
今後は、ヤシ砂糖や花卉の6次産業化による商品開発・販売、そしてアグロツーリズムの本格的な実施を通じて、地域の自然環境を保全しつつ零細農村生産者協同組合が自律した生計向上を目指し、SDGs目標1「貧困をなくそう」等に貢献していきます。
第1・2年次事業計画ウエブサイト
https://www.jeef.or.jp/activities/jashore_bangladesh/
第1次事業中間報告ウエブサイト
https://www.jeef.or.jp/blog/20231128/
文責: 日本環境教育フォーラム客員上席研究員
/江戸川大学社会学部准教授
佐藤 秀樹