事務局日誌 Blog

バングラデシュ農畜林水産業の六次産業化プロジェクト進捗報告! 2020.11.04

本事業は、外務省日本NGO連携無償資金協力の資金源により、2020年2月からスタートしています。しかし、同時期、世界的に広がった新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、日本側からのバングラデシュ渡航ができない状態が続いています。また、バングラデシュにおいても感染の影響は、現在においても続いています。そのため、日本側スタッフは、現地スタッフ、協力機関や受益者265世帯の農村生産者とオンラインによる打合せ等を重ね、現地関係者の安全・健康を第一に考えて進めているところです。

 

本事業の舞台であるシュンドルボン(The Sundarbans)は、ユネスコの世界自然遺産とラムサール条約に登録され、約60万ヘクタールのマングローブ林と湿地帯が広がり、ベンガルトラが暮らす自然環境の豊かな場所です。同地域周辺で暮らす住民の多くは、農業、漁業、林業等の第一次産業に従事し、自然と共生した営みをしています。しかし、マーケティングの未整備による経済的な貧困の問題や、自然と調和した暮らしが重要であるにも関わらず、農薬、化学肥料の多用や過剰な森林伐採等、住民の環境保全に対する考え方が不十分なことが課題となっています。このような状況の中で、経済発展と環境保全の両立を図る取組みが極めて重要です。

 

本事業では、同地域の主要産業である農畜林水産業の六次産業化を図り、その基盤整備、組織化、能力開発、商品・加工技術の開発と市場での販売、エコ・グリーンツーリズムの施設整備・実施等を通じて受益者265世帯の生計向上を図ることを目的とし、3年間の予定で実施しています。今回は、2020年2月~7月までの半年の主な活動成果について報告します。

 

1.  協同組合の組織化(Sundarbans Workers Cooperative Society Limited)

  • 国の協同組合局の登録と承認を得ることで、フォーマルな組織として信頼度の高い活動が可能となった。
  • 組合員(265世帯)の組合費積み立てにより(80タカ/世帯/月※100円程)、組合を継続していくための当事者意識の醸成が図られた。

   

 

2. 組合の組織強化

  • 組合の組織運営マニュアルを作成した研修を通じ、各組合員が組合の組織運営や生物多様性保全に関する理解を深めた。
  • 組合の事務所兼倉庫や宿泊客を泊めるコテージの建設を開始。

 

 

3.適切な生産技術の習得や商品開発(案)・サービスを行うための技能向上

  • 農業・畜産、漁師、非木材林産物、エコ・グリーンツーリズム実施の各グループにおける教材開発(生産・加工技術、販売やサービスの技能)とそれを活用した研修会の開催を通じ、受益者の能力向上を図った。

 

 

今後(2020年8月~2021年2月)の活動としては、協同組合の事務所兼倉庫やコテージの建設の完成、ネイチャーボートの建設と、農業・畜産、漁業、非木材林産物、エコ・グリーンツーリズムの各セクターにおける商品案の開発やローカルでの販売、そして、植林とその環境教育を進めていきます。

 

本事業の活動計画紹介ページ

https://jeef.or.jp/activities/sundarbansactivity1/

 

文責

佐藤 秀樹(日本環境教育フォーラム客員上席研究員/江戸川大学 社会学部 講師)

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