こんにちは。インターン生の冨塚です。
9月19日に、市民のための環境公開講座PART2の第三回目『本当の環境問題』が開催されました。
今回は、早稲田大学教授の池田清彦先生がお越し下さいました。
みなさんご存知の番組、ホンマでっか!?TVにご出演中の先生です!
常識を疑った観点から、笑いも交えて講演してくださいました。
まず、環境教育の視点からのお話しをひとつご紹介します。
●虫取りする子は良く育つ!?
池田先生は虫取りを子どもにさせるべきだとおっしゃっていました。
なぜ重要なのか。その理由は三点あります。
一点目は、捕まえた後に深く観察することで観察力が付き、また名前を調べる癖がつくから。
小さい時に虫取りをしていた人の中に将来大物の科学者になった方が多いのも、そのような理屈だと思います。
二点目は、運悪く動物を殺してしまったときに命の大切さが分かるから。今、いじめが社会問題になっている通り、命の重さがわからない子どもたちも中にはいます。
それはゲーム等のバーチャルな世界の中ではなく、現実で命が絶える瞬間を見て体験することの少なさによるものかもしれません。
そして三点目におっしゃっていたのは、自然に行くと予測不能な体験が出来るから。これは実験にも同じことが言えます。
自分自身、小学校で実験をしていた時にはその意義に気付きませんでしたが、実験することで予想外のことが起きた時になぜだろう?と思える場が作れるのだと思います。
自然に飛び出さずにゲームばかりしていてもだいたい予測可能な範囲内なので、予想外のことが起きた時に焦って自分で考えなくなってしまうかもしれない、と感じました。
だからこそ、特別講座として開催されているGEMSセンターのワークショップでは課外活動や実験を通して学ぶ仕組みになっているのだなと感じました。
※ジャパンGEMSセンターについてはこちらをご覧ください!
次に、人間が生活する為に必要なインフラのうち重要な1つがエネルギーです。
エネルギーについて、世間で良いと言われているものを疑う視点から考えていきましょう。
●メガソーラーは環境破壊!?
商業用の大規模な太陽光発電施設であるメガソーラー発電。火力や原子力の代わりとして期待も高いですよね。
自然エネルギーは原子力や火力に比べれば確かにCO2を排出せずに地球に良いですが、池田教授は持続可能性の高いものとは言いきれないと言います。
理由は三点あります。
まず、パネルに使うレアメタル採掘のために生産国の自然は破壊され、レアメタルを抽出するために毒性の強い化学物質が大量に使われます。
これは、日本だけでなく世界的な課題ともいえるでしょう。
次に、今後拡大していく上で設置する際に広大な土地が必要なため、植物や生態系を犠牲にしてしまう可能性があります。
三点目に、発電コストが高いうえ寿命が20年ほどなので、使い終わったらどのように処理するのかという点で問題がでてくるからです。
ただメガソーラー発電にも、他の発電所につきものの事故が少なく、遊休地を有効活用できますし、電力を国に買い取ってもらえる固定価格買取制度もできました。
その他にももちろんメリットはたくさんあります。
ではそのほかの再生可能エネルギーだとどうでしょうか。
経済産業省によると、日本の総発電量のうち再生可能エネルギーは全体の約20%で、場所の限られる地熱発電は全体の1%ほどしかありません。
しかし地熱発電を通して地域活性化している例もありますし、日本が世界で3番目に地熱資源ということを見てもこれからいろいろな活用方法ができれば伸びる分野かもしれません。
では、実用化されていないものの将来有望な資源は他にあるのでしょうか。
●藻類が地球を救う!?
今注目されているカーボンフリー(地中からの化石燃料を燃やしていない)なエネルギー源は・・・そう!藻なんです。
ここで紹介された二種類は、オイルを創り出すための材料が光か有機物かで分けられます。
一つは、植物よりも10倍~数百倍の油生産能力を持つボトリオコッカスです。
このボトリオコッカスが光とCO2を利用して生産する「炭化水素」からは、今の石油化学工場の設備をそのまま利用して、ガソリンやディーゼル油が生産できるため、
バイオ燃料生産実用化に向けた開発が加速しています。
二つ目は、有機物を栄養としてオイル生産を行うオーランチオキトリウム。
下水などの有機排水に活性汚泥としてこのオーランチオキトリウムを投入することで、オイル生産と同時に水の浄化ができる可能性があります。
つまり排水処理の省エネルギー化によって、日本のエネルギー自給率の改善に貢献する可能性を秘めています!
少し専門的な話題なので、こちらも参考にして見て下さい。
ただこれらにも設備のコスト面での問題点もあり、実用化に向けてはもう少し先です。しかし意外なものが資源でありとても面白く興味がわきました。
私はこの講義を聞いて、どの発電方式にもメリット・デメリットがあるのは当たり前で、重要なことはそれぞれを比較検討することと、
日本だけの視点でなくマクロな視点で環境全体を見ることだと思いました。
また、地球に良いと世間で言われているものにも、ほんとうに良いのか疑問を持って、
その裏側に見えにくい問題点が隠れていないか自分の頭で深く考えてみることが重要だと感じました。
さて、これにて市民のための環境公開講座パート2までが終了しましたが、いかかでしたか?
ひと口に環境と言っても、その広さは計り知れませんね。
海、未来について学んできましたが、次は自然災害がテーマです。
パート3の講座は11月7日から始まります!
皆さまのご参加をお待ちしております。
★市民のための環境公開講座 詳細はこちら