子どもが親の職場を見学するのが子ども参観。ニッスイ本社で約20年ぶりに実施することになり、GEMSセンターが企画&ワークショップを提供いたしました。今回は、GEMSプログラム『砂浜』を通して、海が汚れてしまうと生きものにどのような影響があるのかを体験的に学びます。
まず、砂浜の模型を見せ、ここには潮の満ち引きがあること、さまざまな生きものが暮らしている(魚や鳥のフィギュアを置く)ことを伝えます。そして、この砂浜に、沖合で座礁したタンカーから大量の油が流れ込むと予告します。砂浜や生きものにどのような影響があるのか、子どもたちはグループごとに予想を立ててから実験に臨みます。
予想の段階では、「海が汚れると思う」「生きものにも油がつくんじゃないかなぁ」と当たり障りのないことを言っていた子どもたちでしたが、いざ実験が始まってみるとみるみる油で染まっていく砂浜に絶句してしまいました。特に魚や鳥のフィギュアにべっとりと黒い油がついている様子は、大人も思わず「うわぁー…!」と声を漏らすほどインパクト大。潮の満ち引きによって刻々と変わっていく砂浜の状況に、子どもたちは釘付けになっていました。
海は常に動いているので、一度流れ出た油はどんどん拡散していきます。その広さは、1ℓの油でサッカーコート1面分を覆ってしまうほど。拡散を防ぐためには、海から油を除去しなければなりません。子どもたちは、今度はレスキュー隊となって、どうやったら海から油が取り除けるかの実験をします。ナイロン、綿、藁、鳥の羽という4種類の素材を使い、水に浮かぶ油がどれだけ吸着するかを調べるのですが、「鳥の羽すごい油くっつく!」「…いや、それじゃダメじゃん!鳥が死んじゃうもん」などと、実験を通して環境汚染の影響について自ら学びを深めていきました。
さらに、大きな問題になっているマイクロプラスチックについても実験しました。色とりどりのあめ玉をガラス瓶に入れ、交代しながらガシャガシャ振ると、細かく砕けてカラフルな粒になります。元々は大きかったプラスチックが、波などによって小さくなっていく過程を再現すると、「こんな小さいのが海の中いっぱいにあったら、そりゃお魚さんは飲み込んじゃうよねぇ…」と、子どもたちはしんみりしていました。
最後は、ここまで学んできたことをもとに、「自分が夏休みに、海のために取り組むアクション」を企画書にまとめます。
【現状】どうして海が汚れてしまうのか、今日わかったことをかきましょう。
【提案】海を汚さないために、自分で何ができると思うかアイディアをかきましょう。
【工程】いつ・だれが・どこで そのプロジェクトに取り組むか、かきましょう。
【予算】このプロジェクトをするために、お父さん・お母さんに用意してほしいものをかきましょう。
という4つの視点から企画を考え、書き上げた企画書を次の執務室内見学の際に親とその上長に提出。チェック、押印してもらい、家庭に持ち帰りました。
海が汚染される様子を実験によって学ぶことで、環境問題について実感を伴った理解ができ、また自分の親が海の環境に配慮しながら仕事をしているということを感じることができます。ただ見る・聞くだけの環境活動ではなく、実際の体験を通した環境教育の効果が垣間見えたワークショップでした。
(文責:JEEF 鴨川光)