事務局日誌 Blog

次世代ネイチャースクール in 南房総 2024.12.25

11月2日(土)~4日(月・祝)に、わたしたちの暮らしと生きものとのつながりについて学ぶ2泊3日の宿泊プログラム「次世代ネイチャースクール in 南房総」を開催しました。

今回の舞台は、森と海の両方の自然が体験できるのが魅力の千葉県南房総市。
参加者である小学4~6年生の23名の子どもたちが、関東圏を中心に全国から集まりました。

<1日目>大房岬自然公園でゆたかな自然と出会う

初日は、大房岬自然の家がある公園内をたっぷり時間をかけて散策しました。
小川を素早く動くサワガニや、都会では見られない大きな巣を張るクモ、木々の緑の中で鮮やかな赤さが目立つカラスウリなど…ゆたかな自然に子どもたちは夢中!
さらに、気になったものは手で触れて、匂いをかいで、五感で楽しみながら見つけたものをたくさん採集しました。

出会った生きものをケースにどんどん採集。観察が終わったらリリースしました

川の中にも何かいるのかな?好奇心のままに進んでいきます

森を抜けて海岸に出ると、きれいな色やかたちをした貝殻がたくさん!一つひとつ見比べながら拾っていると、シーグラスやイカの骨など初めて見る不思議なものにも目が留まり、一生懸命に海辺を歩く子どもたちの姿はまるで宝物を探しているかのようでした。

お気に入りの貝殻をゲット!

また、ひとりの子が「見て!」と持ってきてくれたのは、1cmにも満たない小さなヤドカリ!すると、それを教材に海岸でプチ講義がはじまりました。実はこのヤドカリは、本来は沖縄の海にいる種類。海流に乗って千葉県の海までたどり着いたのです。
こうして流れ着いたヤドカリは、以前は関東の冬の寒さをしのげなかったはずなのですが、近年は冬でも気温が高いことから、だんだんと流れ着いた先の土地でも生息できるようになっているとのこと。こうして温暖化の影響で生態系が変わっていっているのだ、ということを学ぶ機会となりました。

大房岬自然の家・じんさんからヤドカリのお話を聴きました

室内に戻ってからは、グループごとに採集したものを見せあって紹介タイム。
そのあとは、自分のお気に入りやみんなに伝えたい発見を展示する“博物館”をつくりました。

木の実によって異なる匂いをかぐ展示、拾った場所のイラストと共に貝殻やシーグラスを紹介する展示、虫メガネを一緒に置いて細部まで鑑賞できる展示など、個性たっぷりの視点でつくられた展示が集まって、この日だけの博物館が出来ました!

思い思いのこだわりがつまった展示をみんなで鑑賞

夜のプログラムではウミホタルの観察会をしました。
子どもたちは青く光る小さな生きものに興味津々で、メモを片手に一生懸命お話を聴いていました。

そっと刺激を加えると青く光るウミホタルに夢中!

<2日目>海と山のつながりを知る

午前中は沖ノ島という無人島へ。アマモの再生活動に取り組む「たてやま・海辺の鑑定団」の竹内さんを講師に迎えて、周囲1kmほどの海岸沿いをゆっくり歩きながら自然観察をしました。
海岸沿いではアマモの保全活動の難しさや現状の進捗について、また島の中央部の森では5年前に台風の影響を受けた森の保全活動についてのお話を聴きました。

アマモを育てる海を目の前にお話を聴きました

前日が雨だったこともあり、この日の海岸には竹が大量に流れ着いていました。すると、「この竹はどこから流れてきたと思う?」という講師からの問いかけが。実はこの竹はもともと午後に訪れる里山に生えており、川を下って海まで流れ着いて来ているのだそう。漂流物から、海と山のつながりも感じることができました。

この海岸だけでも数十種類いるタカラガイ。貴重な種類を見つけたい!と一生懸命探しました

午後は館山市にある「ヤマナハウス」という築300年の古民家に移動。「館山ジビエセンター」の沖さんを講師に迎えて、里山の自然や昔の人の暮らしについて学びました。

築300年の古民家「ヤマナハウス」

到着後はまず、地元の食材を使ったお弁当で昼食を取りました。イノシシのハンバーグの美味しさに、初めてジビエ肉を食べた子どもたちは驚いていました!

しかしプログラムが始まると、イノシシと人間との関係はいい面だけではないことがわかります。例えば、民家のすぐそばまで迫ってきて畑を荒らしたり、場合によっては人間を襲って危害を加えたりすることもあるのです。このような問題は、里山に暮らす人が減少して山が以前のように使われなくなっていることで引き起こされているのだそうです。こういったお話を聴いて、山を活用しながら保全してくことや、山に暮らす生きものと人間の暮らしの関わりについて考えることができました。

その後は実際に里山の中を歩き、イノシシに荒らされてしまった畑の保全作業や、イノシシをかける罠の見学、数時間前にイノシシが歩いた跡の観察などをしました。

イノシシの罠に興味津々な子どもたち

急斜面を転ばないよう慎重に登りました

山頂では草刈り作業を通して森林保全活動を体験しました。「昔の人は、この草を薬として売っていたんだよ」といったお話を聴きながら草刈りを進めて、里山を活用した暮らしを想像しながら様々な草木と触れ合う時間となりました。

鎌や大きなハサミを使って草木を刈っていきます

山を下りたあとは、近くにある川へ。川にあみを潜らせて見つかったたくさんの生きものを、少しの時間だけケースに出して観察しました。子どもたちは「触りすぎ!かわいそう!」「もっと優しくさわろうよ」などと声をかけ合い、生きものの命を労わりつつ観察もできるちょうど良い関わり方を探りながら、生きものとの出会いを楽しんでいました。

川の中からはたくさんの種類の虫や魚、オタマジャクシがみつかりました

この日の夜には、真っ暗闇の森の中を歩くナイトハイクを実施。ほとんど明かりをつけずに夜の大房岬自然公園を歩いていき、展望台に登りました。星空を観察したり、遠くに見える東京の空を眺めたりして、自分たちが日々暮らしている夜の街がいかに明るいかを知る機会となりました。

夜の闇に少しドキドキしながら出発

<3日目>盛りだくさんの2日間をふりかえり

最終日は、様々な生きものと触れ合った2日間をふりかえりました。
まず、思い出の写真をみんなで眺めながら、前日に講師をしてくれたおふたりから追加の解説を聴きました。

その後は、この2日間で出会ったたくさんの生きものたちをみんなで描く「生きものマップをつくろう!」プログラムを実施。
幅3mほどの巨大な紙に描かれた森里川海の地図に、生きものや植物のイラストを貼って、自然がいっぱいの南房総を描きました。最後には「みんなはこの自然とどうやって関わっていきたい?」と子どもたちに問いかけ、地図の中に「自分」を表す人型を配置して、みんなでマップを完成させました。

2日間で出会った生きものでマップがいっぱいに!

参加した子どもたちからは、「色々な生きものと触れあえて楽しかった」「自然は人間も含めて繋がっている事を知ることができた」「普段本などで学んでいる知識を実際の自然の中で実体験できて面白かった」「友達がたくさんできた。また行きたい!」といった感想が届きました。

こうして自然の中で仲間と楽しく過ごした経験をきっかけに、子どもたちがこの先も「自然や生きものを大切にしたい」と行動できる人に育ってくれることを願っています。

 

文責:東村ほのか(事業部第2事業グループ)

 

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