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市民のための環境公開講座2016 パート2「自然の魅力と脅威」第2回レポート 2016.11.18

市民のための環境公開講座2016

パート2「自然の魅力と脅威」の第2回が開催されました。

第2回は『森は海の恋人~人の心に木を植える~』というタイトルで、NPO法人森は海の恋人理事長 畠山重篤氏からお話しを伺いました。

 

 今回の講座では、震災によって死んだ海の復活の経緯や「森は海の恋人」活動、鉄と植物の関係まで幅広くお話ししていただきました。終始ユーモアを交えた畠山さんのお話に、時間があっという間に過ぎる充実した講座となりました!!

 

 

◎講座の感想

 

 

○震災による海への打撃

 

 東日本大震災によって海は真っ黒になり、酷いところでは、津波によって被害を受けた建物から油が出て、油が大量に海に浮かんでいたそうです。さらに油が燃え広がり、海岸まで押し寄せ、大規模な火災が発生したそうです。海を見たとき、また養殖を再興しようとは思えず、さらに大学の先生からはあの海は死んだと言われたそうです。

 海が死んだといわれることが漁師にとってどれほどの衝撃を与えるか計り知れません。

 

 

〇海の復活

 

 復活には2年ほどかかると思われていたそうですが、半年後には海が復活したそうです。海の復活が早かった理由は、川の背景をちゃんと整えていたからであり、「森は海の恋人」活動をつづけてきたことが、海の早急な復活に繋がりました。驚異的な復活の早さに、改めて自然の偉大さを感じました。現在では、震災前より漁獲量が多いそうです。

 また、海が復活したかどうかがわかる指標として、良い植物プランクトンが海に戻ってきたかどうかがあるそうです。個人的には海に魚が少しでもいれば、その海は豊かなのかなと思っていました。

 

 

○森は海の恋人活動と広がり

 

 小学校5年生の社会の教科書に森は海の恋人の活動が載っています。また高校1年生では、英語の教科書に載っており、英語の教科書に載ることで世界発信になりました。

 しかし、森は海の恋人のタイトルをどう英語に訳したらいいかで問題になり、タイトルを決めるにあたって困りきっていたとき、たまたま皇后陛下に会う機会を得ることができ、相談してみようということになったそうです。

 それから、後日、皇后陛下からタイトルに海外の人が大切にしている言葉である「long for」を使ってみたらどうかとFAXが届き、「森は海の恋人」の英訳されたタイトルは「The sea is longing for forest , The forest is longing for the sea」となりました。

 また「森は海の恋人」という言葉は、気仙沼市在住の歌人である熊谷龍子さんがこの運動に賛同してつくった句「森は海を 海は森を恋いながら 悠久よりの愛紡ぎゆく」からきています。

 

 

○全体を通しての感想

 

 今回の講座では、鉄と植物が密接に関係していることを初めて知ることができました。お話の中で特に印象に残ったこととして、日本の近海に植物プランクトンが多く発生している1つの理由に黄砂が降り注いでいることがあるそうです。黄砂には鉄分が含まれているそうで、含まれている鉄分が日本近郊の海を豊かにしているそうです。個人的には黄砂について、農業生産や生活環境に悪影響を与える環境問題の一つとしか考えていませんでした。しかし、海を豊かにしている効果があることを知り、海の環境にも多くの影響を与えているのだなと思いました。

 

 それからネット社会が発達している現代では、直接言葉を交わす機会が減りつつあり、俳句や短歌など言葉で遊ぶ機会も少なくなってきていると思います。しかし、畠山さんは「言葉一つ知っているだけで、ものすごい繋がりができる」とおっしゃっていました。またさまざまなエピソードを聞き、畠山さんは言葉を大切にしてこられたのだなと感じました。

 

 畠山さんが講座の最後に「森と海の関係がしっかりしていれば、この国の将来は明るい」とおっしゃっていました。日本は国土面積に占める森林面積が約67%(約7割)で、先進国の中では有数の森林大国です。また四方を海に囲まれた島国でもあります。今回のお話を聞き、森と海の関係をしっかり保つことができれば、これほどの自然資本を有効に活用でき、豊かな国になるのではないかと思いました。

 

 今回の講座を通して、山川海の関係の大切さについて改めて学びました。

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