こんにちは。インターン生の島津です。
「2016年度市民のための環境公開講座」も、今回のエンディング講座で全日程が終了しました。
なかなか一般では見る機会のない施設であるためか、締め切りを待たずに定員が埋まる盛況で、私もスタッフの立場でありながら開催を心待ちにしていました。
今回見学した神田川・環状七号線地下調節池(以下:調節池)は、善福寺川、妙正寺川、神田川を合わせた神田川水系の水害対策として設計されました。
全員で初めに入った写真 (広い・・・)
調節池トンネルは内径が12.5mあり、今回は約50人で見学をしていましたが、まったく狭さを感じることなく歩くことができました。
これだけの広さを擁するため、整備計画は第一期・第二期と分けられ、早期で事業効果を出すべく段階的に工事が進められていきました。第一期の都市計画決定から実に22年もの年月をかけ現在の取水施設が完成したのです。
取水池周辺は、昭和20年代には自然地と市街地が約5:5の割合だったものが、97%を市街地が占めるまで劇的に変化しました。そのため雨水等が地下へ浸透しづらくなり、都市型洪水が大きな問題として現れました。
総雨量が似た平成5年の台風11号と平成16年の台風22号のケースが好例でした。
平成5年の際には3117戸の家屋が浸水の被害を受けましたが、22年には46戸まで軽減することができたそうです。
また単に貯めるだけでなく、取水にもドロップシャフトと呼ばれる一工夫がありました。
円を描いて水を落とすことで、速く、さらに騒音を抑えて取水することが可能で、ペットボトルの模型での実演にみなさん驚きの声を上げていました。
管制室の写真 (ドラマなどでよく見る部屋ですね)
これは管制室の様子で、意外にシンプルなボタンの配置でした。重要なのは複雑な操作よりも開閉のタイミングだそうで、長年の経験と知識が必要な仕事だなと改めて感じました。
水路の写真 (魚もいました)
ここには当然水だけでなく様々なものが流れてくるため、定期的な清掃が必要になります。
清掃には数ヶ月かかるため、雨期を外した毎年11月から開始されます。たまたま私たちの見学時にも、トンネルの反響で轟音が聞こえ、遠くで清掃車が走っているのがわかりました。
その後6万トンを消防用水として貯蔵し、雨期の始まる6月には元の空の状態に戻るそうです。実は洪水だけでなく、大火にも備えた施設でもありました。
最後はグループで感想を共有し、自分の考えを言語化します。自分が何を感じたか言葉にしてみる、というのは意外に難しいものです。
僕は6月のオープニング講座から参加していますが、講座に出る度に「環境問題」の裾野の広さを実感します。農業から子育て、日本文化、旅、科学、哲学、どんな分野からも環境を考えることができること、そこに環境問題の難しさがあると思います。
一見関係のない事柄も、視点を変えればどこかで繋がっています。環境問題という複雑さに惑わされずに、できることから一つずつ、この環境公開講座がそのきっかけとなれていたら嬉しいです。
CSOラーニング生 島津