市民のための環境公開講座2016
パート2「自然の魅力と脅威」の第3回が開催されました。
第3回は『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』というタイトルで、探検家、医師および武蔵野美術大学教授 関野 吉晴氏からお話を伺いました。
今回の講座では、グレートジャーニー等の旅を通して、気づいたことや感じたことをお話していただきました。動画を交えた終始楽しく聞ける講座となりました!!
◎講義の感想
○グレートジャーニー
グレートジャーニーとは、アフリカに誕生した人類がユーラシア大陸を通ってアメリカ大陸まで拡散していったルートを遡行する旅です。関野さんは太古の人と同じような旅をしたいということから、文明の利器を使わず、自分の腕力と脚力だけを使って旅をすることをルールとしました。
10年間かけた壮大な旅、スケールがとても大きく、車や飛行機等を使わない旅とはまったく想像がつきません。当時の人たちが使っていた舟等を一から作りだし、移動することも驚きましたが、舟を作るために使う道具も一から作ることにさらに驚きました。
○人類の軌跡
「私たちはどこで生まれ、どこからどのように今いるところにきたのか?」この問いは誰でも一度は考えることだと思います。私も日本人は日本という島になぜ、どのようにきたのか気になっていました。
○なぜ私たち人類はアフリカを出て、世界中に散っていったのか?
果てしない旅をするためのモチベーションや原動力とは・・・
外の世界には何があるのだろうという好奇心やもうすこし外にいけばもっと動物を狩れるのではないかという向上心だと考えられていたそうです。
関野さんが考える理由・・・
好奇心や向上心ではなく、土地を追われて移動を余儀なくされたのではないかと考えているそうです。ある場所が豊かであると、人口が増え、飽和状態になります。しかし、飽和状態になれば、弱い人が追い出され、新たな土地で暮らしていく。新たな土地で生き残ることができれば、そこが都となり、人口が増える。この繰り返しによって、人類は世界中に散っていったのではないかと関野さんは考えているそうです。
個人的にも、私たち人類は外の世界に興味を示し、好奇心や向上心から果てしない旅をし続けたのではないかと思っていました。好奇心・向上心ではなく、迫害から生まれた旅だとは思いもしませんでした。
○旅をしていて、旅を終えて感じたこと
関野さんは繰り返し「人との繋がり」が大切だとおっしゃっていました。特に「ありがとう」という言葉がないという民族のお話が印象的でした。物が必要な人に流れていき、知識や物を出し惜しみしないことが当たり前であることでこそ成り立つ文化です。日本には当たり前のように、「ありがとう」という言葉が存在しているため、感謝をするときにどういう表現を使うのか気になりました。
さらに「アマゾンでの人々の暮らしは、日本とは真逆で、時間の流れが違い、競争することがない。人は競争しなければ、優しくなれる。」
「現在の人類は均一性に向かっている。しかし異なった文化を見ることで、はじめてさまざまなことが見えてくる。」ともおっしゃっていました。
確かに日本の社会は、せかせかしていて時間の流れがとても早く、競争が激しい社会であると思います。難しいことではありますが、日本人は利益不利益のことを考えずもう少しゆっくり生きても良いのではないかと思いました。
それから個性を大切にしようと言われている社会ではありますが、実際にはさまざまな文化や言葉が少しずつ無くなっていっています。異文化との交流は新たな価値観の創出に繋がったり、文化が伝承したりとさまざまな面から考え、とても必要なことだと思いました。
今回の講座を通して、人と人との繋がりと多様性の大切さを改めて学びました。