JEEFでは、2019年度環境ユース海外派遣研修(主催:環境再生保全機構)の運営業務を担当しました。
今年2月に行ったインドネシア現地研修ですが、幸いにもコロナの影響を受ける直前に実施することができ、無事に研修を終えることができました。
今回は現地研修と事後報告会の様子をご紹介します。
現地研修
現地研修は、2月5日(水)~2月24日(月)の日程で実施され、長期研修生9名は全行程に参加し、短期研修生1名は2月14日(金)から研修に参加しました。
現地研修では、「SDGs」、「生物多様性保全」、「気候変動対策」、「循環型社会」を学ぶために、様々なサイトを訪問しました。今回は4つのサイトを厳選してご紹介します。
国家開発企画庁(BAPPENAS:バペナス):研修2日目
インドネシアは大統領がSDGsを強く推進し、国として盛り上げようとしています。訪問時は、SDGs担当の職員の方から、インドネシアの取り組みを伺いました。
インドネシアは世界一の島嶼国で、34の州から構成されていますが、すべての自治体でアクションプラン作成を進めているとのことです。担当職員の方が繰り返しおっしゃっていたのは、「SDGsの取り組みをいかにローカライズするかが重要だ」ということでした。
マラサリ村:研修4~6日目
マラサリ村は、グヌン・ハリムン・サラック国立公園が制定される前から住民が住んでいましたが、立地調査が行われないまま国立公園に指定されてしまい、政府・レンジャーと住民の対立が発生していました。長年JEEFはその間にたち、参加型地図作りやアグロフォレストリーの実践を行うことで、双方が納得できる着地点を探っていました。
本研修では棚田で田植えを体験し、ヤシ砂糖の作られる過程の見学、森林トレッキングを実施しました。それらを通して、日本がこれまで支援してきた経緯や村人たちの取組を知るとともに、住民の自立までのプロセスを学びました。
ジャカルタ廃棄物最終処分場:研修7日目
ジャカルタ市内のゴミはすべてこの最終処分場に移送されます。しかし、経済成長や人口増加によって、廃棄物も年々増加している状況にあります。
研修では、ゴミ山の頂上に登って全体を見たり、そこから遠目にウェイストピッカーがゴミを拾う様子も見学しました。また、廃棄物を運ぶトラックの洗浄、廃棄物を分離して堆肥をつくる道具、廃棄物から出る汚水の浄水場などを回りながら、職員の方に解説を頂きました。
強く印象に残っているのは、このゴミ処分場ができたとき、周囲には何もなかったと伺った時です。現在では、周りには家が建ち、人が住んでいます。処分場からの支援(補償金、医療サービス、浄水施設の整備など)や、リサイクル工場での働き口に期待して周辺に住み始めたとのことでした。。
また、利用可能な資源を採集するウェイストピッカーも労働組合のようなもの(窓口としての機能)を組み、処分場との交渉もしているとおっしゃっていました。
AMAN(インドネシア先住民ネットワーク):研修13日目
インドネシアは約2.6億人の人口を有し、300を超える民族が生活する多民族国家です。マジョリティであるジャワ人やスンダ人に比べ、ジャワ島以外の地域に暮らす民族は各地方独特の文化を持っており、経済の中心から離れていることから民族間の格差も発生しています。
AMANでは、先住民が公平に、幸せにそして平和に暮らせる世の中を作ることを目的として、先住民の土地の確保やその土地での収入源の調査等の活動されていました。
今回ご紹介したサイトのほかにも、環境林業省、JICAインドネシア事務所、PT AIO社、Borneo Chic、NTFP インドネシア、ジャカルタ湾岸マングローブ植林地、Boor Nature School、Green School Bali、クタ地区住民グループを訪れました。
研修生の報告書(すべての訪問先の詳細や研修生の感想等)については、環境再生保全機構のHPに掲載されていますので、是非ご覧ください。
事後報告会
コロナの影響で延期になっていた報告会を9月12日(土)にオンラインで実施しました。
報告会では、研修を通じて学んだ知識や経験を紹介し、また各個人が設定したリサーチテーマと自身が今後どのように経験を活かしたいのかを発表しました。
研修生のリサーチテーマは以下の通りです。
・インドネシアのごみ問題解決に向けて
・インドネシア企業が行なうCSRの取り組みの事例
・先進的な環境学校の構造
・インドネシアでのごみ問題の解決への一歩とは
・気象災害と防災・減災 現地研修で見つけた防災・減災への取り組み
・SDGs × 農業 SDGsと農業のつながりを探る
・野生動物と人との関わり
・インドネシア先住民の土地問題
・インドネシアにおける環境に対する市民意識を探る
・気候変動解決のためのそれぞれ役割
現地研修から半年以上経過していることもあり、研修生は研修で得た知識や経験を自身のものとしているようでした。研修当初より一段とたくましくなったように思え、運営側としても大変喜ばしく思いました。
文責:山口泰昌(海外事業グループ)