ホームステイ研修終了しました! 2013.09.08

【日時】2013年5月13(月)〜19日(日)、6月7(金)〜11日(火)
【開催地】ブータン ポブジカ村
【主催】独立行政法人国際協力機構(JEEF受託)
【協働】王立自然保護協会

2回に分けてホームステイの研修が終了いたしました。本研修は、主に1.ホスピタリティ(おもてなし)、2.安全と健康管理、3.ハウスキーピング(家を清潔でかつ衛生的に保つ方法)、4.キッチンガーデンでオーガニック(有機)野菜を作る、5.郷土料理の開発などを目的としました。

「ようこそ」のジェスチャーから

シャイなブータンの人たちにとって、初めて会う外国人とコミュニケーションをとるのは想像以上に大変で、声をかけるといつも恥ずかしがって顔を隠してしまいます。ホームステイに行ったおうちのお母さんが恥ずかしがっていては、お客さんも困ってしまいます。そこで、ブータン独特の「ようこそ」のジェスチャーで、遠く離れた親戚が来た時のように迎え入れる練習をまず行いました。自己紹介した後は家の中を案内し、ブカリという薪ストーブの横に座ってもらい、その家自慢のお茶とお菓子をサーブします。簡単そうですが、靴はどこで脱いでもらうのか、お茶はしょっぱい伝統茶のスジャがいいのか、甘いミルクティーがいいのかなど、コミュニケーションを取らなければいけないことがたくさんあります。細かいことは帯同するナショナルガイドが通訳として必ず入るので心配なくても、いざとなると皆腰が引けます。最初は心配顔でしたが、ロールプレイで実践してみると、次第に「あは、ペマおばちゃん、あわててお客さんストーブの上に座らせちゃったよ!」と茶々を入れたり、私が初めてしょっぱいスジャにびっくりしている観光客のふりをすると、涙を流して笑い転げている人までいます。

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お客様予約受入の練習。何名がいつからいつまで何泊?
お食事は?確認事項がいっぱいです。

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お客様に出す前に、お皿とコップを清潔に拭きます

ポブジカは主に2地域に分かれますが、これらの地域は全く違う言語を話し、片方は農耕民族で、もう片方は遊牧民と文化も習慣も異なります。顔見知りですらない参加者同士初日はものすごく緊張していたようですが、帰る頃に仲よくなって、研修の終盤にはお互いを支え合うしっかりとしたチームワークができていました。

安全と健康管理

地元の衛生員から、手の洗い方から食中毒、アレルギー、高山病、胃腸障害などの応急手当を学びました。ポブジカの場合は、なにかがあれば村のどこにいてもいつでも衛生員がかけつけてくれますので安心です。

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手洗いの練習

キッチンガーデン

庭の一部を使ったキッチンガーデンは、村の農業担当が各野菜の栄養素や種の蒔き時期、収穫時、病気や害虫の退治の仕方についてレクチャーを行いました。普段からキッチンガーデンの野菜を使う習慣があれば、真冬以外はいつでも新鮮な野菜が手に入るため、宿泊客のキャンセルが入っても、お店で購入して無駄にするリスクが減ります。

ハウスキーピングと料理

Royal Institute of Tourism and Hospitality(RITH)の講師陣が担当。こちらからお願いしたのはひとつ。「ポブジカのお母さんたちは、すでにすばらしい料理を作り、快適な家に住んでいます。自分たちの料理や家、生業や文化に自信を持ってもらうために彼女たちの背中を押してほしい」ということ。今回来てくれた講師の一人は、宮中晩餐会のメニューを担当する方で、第5国王の結婚披露宴も担当された方。参加者たちは、まさか自分たちのためにそんなすごい人たちが来てくれるなんてと、驚きと共に自覚もモチベーションも上がったようです。食材の提供などは自分たちのためになることだからと、オーナーシップも確実に芽生え、講師たちはそれに感激し新たなメニューを考案し、お母さんたちからは郷土料理を教えてもらうなど、講師と参加者というより、お互いに尊敬の念を持って得意なことを教え合う仲間という感じでした。

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懸案事項であった臭みの強い肉料理には自生するニラを使い、外国人でも美味しくいただける味に仕上げることができました。自家製チーズのサラダドレッシングや、ジャガイモポタージュなど辛くない料理も習い、参加者は帰宅するとさっそく家族のために習いたての料理を作り、翌朝にはアレンジした新作を持ち寄るなど、とても熱心でした。
ハウスキーピングは、ホテル研修の講師が安価で安全な柑橘類オイルや重曹を使った掃除の方法や害虫の駆除、ベッドメイキングのコツなどを実践しました。もともときれい好きな方たちなのですが、家畜とともに住み、野良作業が多いとどうしてもノミやダニが泥とともに持ち込まれます。研修後はお父さんや子どもたちが泥んこのまま家に入ろうとすると、お母さんがたらいを玄関まで持って行って家の外でほこりを落とし、手足を洗ってからしかお家に入れてもらえないようになったそうです。

フォローアップ研究

5月に学んだことのおさらいと、実際アメリカの学生たちをホームステイに迎え、今まで学んだことを発揮する機会に恵まれました。お客様から、「トイレの使い方がいまいちわからなかった」「高山病になったが、伝統的な飲み物を作ってくれて、すぐに具合がよくなった。とても親身に面倒を見てくれた」「食事はとても美味しかったが量が多い」などのフィードバックがありました。ホスト側からも予約の時点でアレルギーや宗教的な理由による食事の好みなどきけるとよいなどというアイディアもでて、しっかりと観光客を受け入れるイメージができたようです。

今回の研修参加者のなかには毎日何時間も歩いて通う人が何人もいました。RSPNチョキ氏が長年かけて得てきた村人からの信頼や本プロジェクトに対する期待も大きいのですが、自分のこととしてしっかりオーナーシップを持って臨んでくれていることが今回はっきりとわかりました。

文責:柴原みどり(JEEF職員)

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