文:柴崎 薫
サンデンフォレストとは?
私の働いているサンデンフォレストは、『森の中にある工場』です。自動販売機工場の周囲が森に囲まれており、64ヘクタールの敷地の半分が工場、半分が森というところです。産業第一の考えではなく、周囲の自然とマッチした工場をということで、11年前(2002年)に作られました。サンデンという会社の一事業所であるサンデンファシリティという子会社が、サンデンフォレストの管理・活用を行っており、私はそこにいます。
今は、小中学校の受入れプログラムの提供、主催イベントの実施が主ですが、このサンデンフォレストがどうしたら地域の役に立つかということ、また、社員がこのフィールドに愛着を感じる場所にしていくことがこれからのテーマです。
職場を変えて自分をリセット!
私はこちらの紙面でもおなじみの、JEEF自然学校指導者養成講座の5期生でした。修了後、千葉自然学校で4年半、国際自然大学校で1年、怒涛の毎日!? を過ごし、群馬にある国立赤城青少年交流の家へ来ました。そこで2年勤め、今年の4月からサンデンフォレストへ。ということで、群馬3年目なのです。
転職が得意なわけではありません。環境が変わると、緊張、新しい人間関係の構築、ルーチンワークの習得など、ストレスも高いです。でもやはり、職場が変わることで得るものが本当に多い! 特に、自然学校から国の施設である交流の家、そして今の企業へ移った時は、変化が大きいものでした。いろんな価値観の中でやっていくこと、お金の使い方、取り組み方、いままで当たり前だと思っていたことが覆える瞬間もあります。しかし、そういう時こそ、指導者としての自分の使命を問い直す時であり、慣れ親しんだ環境を離れることで、自分に足りないもの、目指したい方向がすっと見えてくることがあるのです。
何年か自然体験の現場で経験を積んだ方は、ぜひ思い切って転職することをおススメします! 必ず自分自身を成長させてくれるはずです。
至った心境・これからの取り組み
そのように複数の職場を経て、実感するものがあります。
1:こだわりを捨てる
同じ仕事をしている限り、正直どこに行ってもやっていることに大きな違いがないように感じます。いいものは自分の団体にとどめず、広く使えるようにしたり、人気のあるキャンプだったら、1団体にとどめず複数で実施したり、ある部分はこだわりを捨て、みんなでレベルアップするような取り組みをすることも次の世代の選択肢だと思います。
2:地域で子どもを育てること
群馬に来てそう思うようになりました。自然学校時代は事業で、やってみたいことを何でもさせてもらえたので、猛烈にがんばれたのです。そして限界も見えました。限界を打破するには、違うベクトルの力が要る、そんなことを感じるようになりました。各組織が連携し、人材・フィールド資源・資金・情報・人脈・備品など… それぞれの得意分野を持ち寄れば、もっと多くの実を結ぶ取り組みができるはずです。予算の問題もありますが、その次元を越えた、社会問題の解決に向けた事ができるのではないでしょうか? そんな取り組みをしていきたいと思っています。その形の1つに、地域の方と一緒に、地域の子どもを育てる仕組みづくりがあります。
そして最後に、いつかまた今の場所からいなくなるときが来るでしょう。その時、自分がいないと続かないものではなく、いなくても続いていくものを残すことが私の責任です。まだその責任を果たしたと感じたことはありません。今度こそ、しばらく今の場所でじっくり取り組みたいと思っています。
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。