「やる前に考えてたから、それが当たったときうれしかった!」 「うーん、僕は考えてたのが外れたからくやしかった…」
これは『浮く?それとも沈む?』(水に浮く物体と沈む物体を予想し、検証する)というアクティビティを体験した小学校低学年の子たちの感想です。実際に物体を水に入れる前に結果を予想したことで、嬉しさや悔しさといった感情が湧いたようでした。
予想をするということは、体験学習ではとても大切なことです。ただ体験するだけでは、子どもたちの中に生じる感情は限定的です。例えば、悔しいというような強い感情はなかなか湧いてこないでしょう。予想をしてから体験することで、より強い感情が生じ、体験はより鮮やかに心に刻まれます。
少し話は跳びますが、感情を伴った出来事はとても記憶に残りやすいと言われています。自分が小さい頃を思い出したとき、すぐに思い出せる記憶には強い感情が伴っていることが多いのではないでしょうか。これは脳の中の記憶を司る領域と感情を司る領域とが密接にかかわっているためと考えられています。
感情には学習を促すものと、妨げるものがあることが知られています。例えば、ポジティブな感情(楽しさ、喜び、遊びなど)は学習を促し、ネガティブな感情(恐怖、不安、苛立ちなど)は学習を妨げると言われています。しかし、一方で強すぎるポジティブな感情は学習を妨げ、緊張感や悔しさなど多少のネガティブな感情はむしろ学習を促すということもあります。
人間は感情の生き物です。大人でも子どもでもそれは同じです。脳には様々な刺激を整理し、学習をするのに最適な条件を保とうとする機能があります。感情が適度に動くような学習場面をつくることで、脳のバランスを保ち、子どもたちの学習を促すことができるのです。
GEMS(ジェムズ)は、カリフォルニア大学で開発された子ども対象の科学と数学の体験学習プログラムです。 大人が知識を教えるのではなく、子どもたち自身が実験を企画し、話し合いながら結論を導き出すようにアクティビティが構成されています。
ジャパンGEMSセンター
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。