文:山田 勇
子どもがもっと元気に輝く地域に
自分が生まれ育った街、長野県塩尻市は信州の真ん中あたりに位置する、人口7万弱の田園都市です。小学生のときに環境問題に関心を持ち、県外の大学で学び、その後、5年ほどそのまま県外で環境教育を実施していましたが、結婚を機に地元に帰ることにしました。
地元への愛着は想像以上に強く、帰郷後は、「この街をどうしていくのか!?」ということに関心が強くなりました。そこで、持続可能な松本平創造カンパニーわおん♪を設立し、約6年間活動をしています。
わおん♪のミッションは、子どもたちがもっと元気に輝く地域にしていくことです。そのために、わおん♪自然探検隊という名称で、市内の里山で年間を通して子どもたちと活動をしています。対象は小学3年生から中学生まで。4月から11月まで定期的に活動をしていて、春、夏、秋にはキャンプも実施。ただし、この活動は参加費がかかるうえに、送り迎えをしてもらう必要があるフィールドのため、子どもが興味あるだけでなく、保護者もこの活動に興味と理解がないと参加してもらうことは難しいです。
少しでも多くの子どもと関わるために
もっと気軽に参加できる外遊びの機会を増やそうと、冒険遊び場を開催することにしました。「冒険遊び場を塩尻につくろう会」に所属し、毎月第4土曜日に小学校の横にある公園で、子どもたちと一緒に、自分の責任で自由に遊ぶ居場所づくりを行っています。こちらは、近所の子どもは興味さえあれば、自分で来ることができます。さらに、外遊びに興味がない子にも、外で遊ぶキッカケになればと思い、キャラクターを活用した企画も行っています。わおん♪のキャラクター「げんすけ」は、ゆるキャラグランプリにも出場し、地域のイベントに盛り上げ役で参加することがあり、子どもたちに大人気です。
そんなげんすけと一緒に、ベーゴマやけん玉、鬼ごっこなどの昔あそびができる「げんすけ縁日」を開催。げんすけに興味がある子どもたちがたくさん遊びに来てくれました。げんすけと外で遊ぶことをきっかけに、冒険遊び場や自然体験に少しでも興味をもってもらえればと願い、今後もこの活動を続けていきます。
地域課題を自分の課題に
そもそも、なぜ、げんすけが誕生したのか?
わおん♪が地域活動を行ううえで、多くの方にサポートしていただく必要がありました。イベント時にボランティアとして関わっていただいたり、時には寄付、物品提供をしていただいたり。そのためには、まずは自分たちの活動を知っていただかなくてはなりません。そこで、情報誌の発行やWEBでの番組配信などを続けてきました。その際に、キャラクターがいると目につきやすいだろうと考え、げんすけのイラストが誕生。そして、多く方の寄付により、現在のように子どもたちに愛されるキャラクターに成長しました。
http://ibc.shiojiri.comで番組配信中
活動を知り、共感することは、地域の課題を自分の課題として捉えることにつながります。共感者が増えることで、活動の信頼が増し、ボランティアで関わっていただける方が増えたり、寄付などの支援も増えていきます。その結果、活動がより大きくなり、今まで手の届かなかった地域課題にも手が届くようになっていくと感じています。イベントの参加者集めのためだけではなく、地域課題解決のためにも広報に力をいれてるのです。
自分たちだけでできることは限られています。だからこそ、今後も多くの市民のみなさんに支えられ、地域で活躍する様々な分野の団体とも協力し合いながら、地元の子どもたちがもっともっと元気に輝けるように、試行錯誤を続けていきたいと思います。
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。