機関誌「地球のこども」 Child of the earth

子ども達が体験を通して「森づくりの大切さ」を実感する3日間 2014.10.22

2014王子の森自然学校

【主催】王子ホールディングス株式会社、JEEF

「王子の森・自然学校」は、王子ホールディングス株式会社とJEEFが協働で実施している、自然体験型の環境教育プログラムで、2014年で10回目を迎えました。森林での間伐作業をはじめ、紙すき体験や製紙工場の見学を通して、森、人、産業のつながりについて、楽しみながら体験的に学ぶ2泊3日のキャンプです。
今年は、日光校を3年ぶりに開校、その一方で、広島校は、直前に発生した土砂災害の影響で開校を見送りました。例年応募の多い富士校については、2回開催としました。今回は、夏休み終盤に開校された富士校の第2日程について報告いたします。

開催校期間参加者工場見学プログラム実施団体
北海道校7月28日
~30日
20名王子製紙苫小牧工場NPO法人
当別エコロジカルコミュニティ
日光校8月4日
~6日
20名王子マテリア日光工場NPO法人
国際自然大学校
富士校①8月20日
~22日
20名王子エフテックス東海工場
富士製造所
NPO法人
ホールアース研究所
富士校②8月25日
~27日
20名王子マテリア富士工場NPO法人
ホールアース研究所
広島校中止  NPO法人
ひろしま自然学校

1日目

子ども達は、東京駅、新富士駅、富士駅の各集合場所で合流し、宿泊先のホールアース自然学校(静岡県富士宮市)に向かいました。昼食のあとは、川遊びへ。浮き輪を使った川下りや、生き物観察をして楽しみました。

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宿泊先に戻り、夕食づくりの手伝い。近くで獲れたトマトを茎から外してきれいに洗いました。食後は、夜の生き物観察へ出かけ、トノサマガエルなどを見つけました。

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2日目

朝から紙すき名人の工房を訪問。子ども達は名人の持つ気迫に圧倒されながら、真剣に紙すきに挑戦していました。その後、王子グループが所有する朝霧山林に移動し、伐採作業を見学したり、のこぎりを使って間伐や枝うちを体験をしました。

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午後は、雨が降り出しそうだったため、田貫湖ふれあい自然塾の施設内で活動。空を飛ぶ木の種子の話をきいたりその模型づくり、木片とネジを使って鳥の鳴き声そっくりの音が出るバードコールづくりなどを行いました。

夕方からは、宿泊先で木のクラフトづくりや、最終日に工場のみなさんにお渡しする「ありがとう、王子の森」の横断幕の作成に取り組みました。

3日目

朝食後、全員で宿泊所の掃除をし、工場に向けて出発。工場では、巨大なロール紙や、ロール紙を運ぶロボットマシンの動きに、みんな一様に驚いていました。

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振り返りの時間では、今回訪問した山林、川、工場はひとつにつながっている、つまり人間の活動は、山林や川によって支えられている、ということをあらためて教わり、プログラム3日目をむかえた子ども達も十分理解した様子でした。最後に、一人ひとり修了証を受け取り、すべてのプログラムが終了しました。

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二者協働で、子ども達へ体験の機会を提供していくことの意味、必要性

「王子の森・自然学校(以下、自然学校)」は、森に親しむ「フィールドプログラム」、自然と人との関わりを知る「社有林プログラム」、製紙工場を見学する「工場プログラム」で構成されています。子ども達にとって、「森」と、「人」「産業」との関わりについて体験的に学ぶことは、持続可能な社会について考え、理解を深めるよい機会です。また、親元を離れて、初めて出会った仲間と共同生活をすることで、コミュニケーション能力の向上、つまり「人」と「人」との関係も学ぶのです。

参加者アンケートでは、「3日間楽しかったようです」「たくましくなって帰ってきた」というご両親の声だけでなく、「友達ができた」「森づくりの大切さを学んだ」「森や工場での体験からいろいろなことを学べた」といった子ども達の回答が寄せられています。すなわち、「自然学校」における学習は、子ども達の、知・徳・体のバランスのとれた「生きる力」の育成に寄与しているのです。子ども達が、変化の激しい現代社会で「生きる力」を体得していくために、我々は学校教育のみならず、社会教育の場を積極的に提供していく必要があると感じています。

一企業や一教育機関だけでは、できることに限りがあります。協働して、それぞれが保有する資産や得意分野における知識を持ち寄れば、より効果的なプログラムをつくりあげることができます。その中で、おとな達が、環境保全に正面から取り組んでいる姿を見せることが、子ども達にとって意義ある学びの機会になると考えます。

文責:小堀武信(JEEF職員)

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