機関誌「地球のこども」 Child of the earth

ESDのこれから ~環境省より~ 2015.01.19

文:環境省総合環境政策局環境教育推進室

「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」(以下「ESDユネスコ世界会議」という。)は、2014年(平成26年)11月12日、「国連ESDの10年」の後継プログラムとして「ESDに関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)」(以下「GAP」という。)を開始し、「あいち・なごや宣言」を採択するなどの成果を挙げて閉幕しました。

国連ESDの10年を振り返って

日本政府の提唱により2005年(平成17年)から開始された「国連持続可能な開発のための教育(ESD)の10年」は今年が最終年となりますが、この10年間、国内外でESDの様々な取組が展開されてきました。
国内では、2011年(平成23年)6月に成立した「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律」において、環境教育は「持続可能な社会の構築を目指して」行われるものと位置づけられ、また、新しい学習指導要領の中でも持続可能な社会の構築を目指す「ESDの視点」が盛り込まれるようになりました。
環境省の施策においても、「ESDの視点」を取り入れた環境教育等の推進をすべく次のような事業を展開してきました。

ESDの視点を取り入た事業

  1. 環境教育は、学校だけでなく、家庭や職場、地域などあらゆる場において実施されるべきものとされたことを受け、町内会や自治体等を中心に様々な主体と協力しつつ家庭における環境教育を進める事業を実施
  2. 産学官民が連携するためのプラットフォームである「環境人材育成コンソーシアム」と連携し、企業向けの環境教育ガイドラインの作成や研修会の開催等を行い、環境人材の育成と社会での活用を促進
  3. 学校教育における環境教育支援として、教職員に対する研修の充実等のため、文部科学省と協力して、教職員と地域の環境活動リーダーがともにESDの視点を取り入れた環境教育のノウハウを学ぶ「環境教育リーダー研修」を実施
  4. 「環境カウンセラー」の育成等を通じて、小中学校等における出前授業の支援を推進
  5. 環境省のHPにおいて環境教育・環境学習に係る総合情報データベース「ECO学習ライブラリー」を設け、環境教育のための教材や資料を広く提供
  6. 地域で行われているESDの活動や支援事業を登録し、全国的な「見える化・つながる化」を目指したウェブサイト「+ESDプロジェクト」を運営
  7. SDの視点を取り入れた環境教育プログラムを基に、汎用性のあるESDモデルプログラムを作成し、全国47都道府県における小中学校等での実証授業を通して、地域性を取り入れた環境教育プログラムを作成する人材育成事業を実施
  8. 東日本大震災を経験した東北地方における、ESDの視点を取り入れた環境教育プログラムの収集、実証、発信

その結果として、各地域における多様で優れた取組等が増え、今後もこれらの事業の一つひとつが、地域から発信する取組事例として、これからESDに取り組もうとする人々にとって参考となることを目指し、取組の裾野を広げていきたいと考えています。また、国際的な取組としては、次の事業を展開してきました。

国際的な取組

国際連合大学(UNU)が実施するESDプログラムへの予算拠出
ア 「持続可能な開発のための教育に関する地域拠点(RCE)」の認定、ネットワーク化事業
イ「アジア環境大学院ネットワーク(ProSPER.Net)」の設置・運営事業
日中韓環境教育ネットワーク(TEEN)
日中韓三国の環境教育ネットワークを推進し、ひいては環境共同体意識の向上に資することを目的に、毎年ワークショップとシンポジウムを開催し、議論や意見交換等を実施

我が国は、「国連ESDの10年」の提唱国として、国際社会においてESDの推進に積極的に貢献する必要があり、引き続き環境教育をはじめとした様々な施策を通じて世界のESDの推進を主導していきたいと考えています。

「国連ESDの10年」後の環境教育推進方策

環境省では、2015年(平成27年)以降もESDを推進していく必要性や、その具体的な方向性について議論すべく、北川前環境副大臣を座長に外部有識者の参画を得て、懇談会を開催しました。
懇談会では、「ESDの推進には、環境課題等の解決に向け、具体的な行動をおこしていく意識や能力を持つ人材を育てていくことが求められますが、ESDの認知度の低さや必要性の認識不足等により、人材育成のための研修が不十分、また、教育・学習の実践者を側面から支援するなどの人材不足」等の指摘がありました。

また、ESDの実践は、「地域特性に応じた人材育成や教材・プログラムの開発・整備等を進め、その成果をあらゆる地域で活用出来るよう連携していくためのネットワーク体制の構築が必要」との指摘もありました。

環境省では、引き続きESDの普及啓発に努めるとともに、懇談会の指摘を踏まえた「人
材の育成」、「教材・プログラムの開発・整備」、「連携・支援体制の整備」を柱とした予算要求を行っているところです。特に、「国連ESDの10年」の取組を通して、各地域で根付いてきた取組や優れた取組を全国各地に広めていくためには、様々な主体が参加する各地域間をつなぐ全国的なネットワーク機能の充実とそのための支援体制の整備は必要であり、「ESDのこれから」に向けた大きな課題であると考えています。

国際的な潮流について

現在、環境省がESDと関わりをもつ国際的な潮流は主に4つあります。

1つめは、「ESDに関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)」です。ESDに関するユネスコ世界会議において「国連ESDの10年」の後継プログラムとして開始され、GAPを実施するためのロードマップも公表されました。

2つめは「持続可能な開発目標(SDGs)」。3つめは「国連生物多様性の10年」、4つめは「持続可能な生産と消費に関する10年計画枠組み(10YFP)」です。

GAPはESDがメインテーマですが、他の3つは、持続可能な開発の要素をテーマにした国際潮流であり、その中に教育・ESDの要素が盛り込まれています。

ESDのこれから

日本は、ESDの提唱国として、2015年(平成27年)以降の国際的なESDの取組推進に向け、主導的な役割を担っていきます。早急に取りかかるべきものとしては、2006年(平成18年)に「『国連持続可能な開発のための教育の10年』関係省庁連絡会議」で決定した「我が国における『国連持続可能な開発のための教育の10年』実施計画(ESD実施計画)」の見直しであり、「国連ESDの10年」の後継プログラムであるGAPを踏まえて見直され、新たに策定される予定です。

「ESDのこれから」は、ESDの取組に各地域の特性や特長を積極的に取り入れるとともに、ESDを身近で分かりやすいものとしていく工夫に努めるなど、「地域」と密接に関わりながら取組を広く伝えていくことが必要です。

あらゆる主体者(マルチステークホルダー)がESDを取り入れ、身近な環境課題等を地球規模で考えながら、自分の地域で活動する「グローカル」が「出来る」よう促していくことも必要です。そのためにも、ESDを指導できる人材育成(ESD人材育成)が急務となります。

環境省としても、懇談会報告書が掲げる「人材の育成」、「教材・プログラムの開発・整備」
「連携・支援体制の整備」について、これまで以上に結果が残せるよう取り組んでいきたいと考えています。

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