子どもの考える力の低下が叫ばれて久しいですが、そもそも「考える力」とはどのようなものなのでしょう?
人間が生まれて最初に身に付ける思考力は「分ける(分類する)」ことだといわれています。生後間もない赤ちゃんでも、この人はお母さんか否か、快か不快かといったように、自分が見たものや感じたことを、分類できるのです。そして、分類はすべての思考力の基礎になっています。
例えば、比較するためにはAとBが違うものであると区別する必要がありますし、因果関係を把握するにも何が原因で結果なのかを分けることが必要です。
先日行った親子講座でいろんなタマゴを観察するというアクティビティをしました。教材として7個入りパックのうずらのタマゴを用意したのですが、小学2年生の男の子がそのタマゴをじーっと見て「このタマゴは3つに分けられるね」と言い出しました。聞いてみると、殻の模様が3パターンに分けられるとのこと。一見するとほとんど同じに見えるのですが、「この2つは斑点の色が薄いでしょ? こっちは斑点の数がね…」と説明をしてもらうと、たしかに彼の言う通りに分けられるので、とても驚きました。
こうしてくり返し分類する体験をすることで、次第に次のステップの考える力が育ってくるのです。
GEMSの幼児向けプログラムでは活動の冒頭に、分ける活動をたくさんします。これは、分類という基本的な思考力を最初に働かせることで、頭がスムーズに考えるモードに切り替わっていくためです。
自然体験活動でも葉っぱや花の分類をすることがありますが、考える力を育てるためというよりは、いろんな種類があることを知ってもらうというねらいが強いように感じています。
今この子たちは自然に親しんでいるんだという視点と同時に、分類という思考力を育てているのだという視点を持つと、子どもたちへの声かけが変わってくるのではないでしょうか。
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。