機関誌「地球のこども」 Child of the earth

幼児から大人まで 〜米子水鳥公園における長期的環境教育プログラム〜 米子水鳥公園にききました【鳥取県】 2016.08.22

文:桐原 佳介(米子水鳥公園

米子水鳥公園は(以下、水鳥公園)、1995年に汽水湖「中海」のほとりにオープンした野鳥観察施設で、鳥取県米子市が公益財団法人中海水鳥国際交流基金財団に管理を委託して運営されています。

水鳥公園では、子ども達の成長に対応して、連続した環境学習プログラムに取り組んでいます。幼児を対象にした「園児が描いた鳥の絵展」では、水鳥公園周辺の幼稚園・保育園に呼びかけて、大きな紙に鳥の絵を合作で描いていただき、ゴールデンウィークから5月にかけてネイチャーセンターに掲示します。

園児が描いた鳥の絵展

園児が描いた鳥の絵展

作画に参加した園児たちは、保護者と一緒に作品鑑賞に来園します。これが水鳥公園に来るきっかけとなり、水鳥公園の魅力に気づき、常連のお客様となります。

小学生を対象とした企画としては「子どもラムサールクラブ」があります。毎月一回一年を通じて、同じメンバーで水鳥公園とその周辺の自然を楽しく観察する企画です。

さらに、中学生になると「ジュニアレンジャークラブ」というボランティアグループがあります。子どもラムサールクラブと同じ日に集まり、水鳥公園に役立つボランティア活動をします。ジュニアレンジャークラブのメンバーは、子どもラムサールクラブを卒業した子が主ですが、それ以外の子も活動趣旨に賛同して、メンバーに加わっています。

水鳥のために杭を立てるジュニアレンジャークラブ

水鳥のために杭を立てるジュニアレンジャークラブ

 

アジアこども交流会

アジアこども交流会

 

子どもラムサールクラブからジュニアレンジャークラブにかけては、同じメンバーで長期間活動することによって、メンバー間に人間関係が築かれ、活動に一体感が生まれます。また、長期間にわたる活動経験を活かして、他のラムサール条約登録湿地で活動する子どもたちとの交流会があります。中海代表として、自らの活動を発表をすることで、他の湿地の子どもたちと情報交換でき、互いに仲良くなり、今後の湿地保全活動の原動力となっています。

この取り組みは、最長で15年にも及ぶ長期プログラムで、現在のジュニアレンジャークラブの最年長は高校3年生です。この子たちの中から将来、湿地保全活動で活躍する人が現れることを期待しています。

kirihara

桐原 佳介(きりはら けいすけ)

東京農業大学農学科昆虫学研究室を卒業後、環境調査会社勤務を経て、1999年から米子水鳥公園指導員に着任。普及啓発事業と広報を担当。2015年に超ローカル図鑑「米子水鳥公園の生態系と野鳥図鑑」を発刊。
米子水鳥公園ウェブサイト

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