【事業名】三井物産環境基金助成事業 バングラデシュ・クルナ市のウエイスト・ピッカー(廃棄物回収人)を 対象とした地域社会内廃棄物管理改善プロジェクト
【実施期間】2015年10月~2018年9月
【実施地】バングラデシュ・クルナ市
【資金提供】三井物産環境基金
【パートナー団体】バングラデシュ環境開発協会(BEDS)
2015年10月から3年間の予定で行っているバングラデシュ・クルナ市のウエイスト・ピッカー支援活動の中で、現在、対象40世帯の協同組合化や、労働衛生環境改善へ向けた研修会の開催を行っています。今回は、本事業で対象としている、ウエイスト・ピッカー3世帯の代表者からのメッセージをお伝えします。
研修で学び労働環境を改善
Mr. Sayeedさん(25歳)
8歳の時から有価廃棄物の回収を始め、現在は妻も一緒に回収をしています。プラスチック、ガラス、ペットボトル、靴等を回収し、それらを売って1500~2000タカ(2000~2500円程度)/月の収入を得ていますが、これだけの僅かな収入では、家族が暮らすには十分ではありません。また、ごみ回収時に必要なマスク、手袋や長靴等を購入する十分なお金がないので、夏の暑い時期に発生するごみの異臭、ハエや雨季の時期は足元がドロドロ状態の中でごみを回収しなければならず、労働衛生環境は決して良くありません。そのため、私も妻も呼吸器系の疾患や皮膚病を患っており、十分に働くことができず、また、経済的な理由から病院へ行くこともできません。
しかし、幸運にも、JEEFとBEDSが私たちを支援する活動を立ち上げ、協同組合のメンバーとして衛生教育等の研修を受ける機会ができました。組合が一丸となって活動を展開していけば、私たちの生活や労働環境も改善し、社会的地位も高まっていくものと期待しています。今後も、JEEFとBEDSが私たちを支援して頂けるということに、心から感謝致します。
子どもには十分な教育を受けさせたい
Mrs. Shahana Parvinさん(36歳)
私は、 夫と子どもと一緒に市内にあるスラム街で長い間暮らしています。若い時に結婚して家庭を持つことになったので、学校で十分に勉強することができませんでした。子どもができるとお金がかかるようになり、市郊外にあるごみ最終処分場で、有価廃棄物回収を行うようになりました。私はその仕事で1000~2000タカ(1500~2500円程度)/月の収入を得ていますが、家族が飢えをしのぐには十分ではありませんし、病気になっても病院へ行くこともできません。子どもたちも時々、有価廃棄物の回収を手伝います。
子どもにはできるだけ良い教育を受けさせたいと考えており、そのためにも現在の仕事に専念していきたいと思っています。私は、小さい時からガーデニングが好きでした。将来は、小さな庭を持ち、家族全員で花や野菜を植えることのできる日を迎えることができるよう、がんばりたいと思います。
これまでは、私たちのようなごみ回収人に目を向け支援する活動はなかったのですが、JEEFとBEDSのおかげで明るい未来がみえてきたように感じます。私は、協同組合のメンバーの一員として、今後、私たちの活動が社会的に広く認知され、労働衛生環境の改善ができるよう、JEEF、BEDSと一緒に歩んでいきたいと思います。
学校に行くことを夢見ながら
Mr. Riponさん(12歳)
ボクの両親は有価廃棄物回収人です。4人家族で、小さな弟がいます。両親は経済的に貧しかったので学校へは行くことができず、直ぐに従事できる有価廃棄物回収人になる道を選択しました。今も家計を養うためにこの仕事を続けています。ボクも学校へは行っていません。同じ年代の人たちが学校へ通っているのを見ると、とても羨ましいく思います。ボクも学校へ行くことができたらなあと思う、そんな日々が続いています。
これは、運命だからと諦めても仕方がありません。そのような状況の中でも、仲間と一緒にクリケットをして楽しみ、将来、家族が幸せに暮らすことを夢みながら、がんばっています。JEEFとBEDSがボクたちと同じ立場で仕事をしている人たちのグループ(協同組合)を結成し、支援する活動を展開してくれているので、とても嬉しいです。
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。